資格名

診療放射線技師

資格の種類

国家資格(業務独占資格)

主催者

厚生労働省医政局医事課試験免許室

資格の概要

「診療放射線技師」は、医療施設などで医師の指示のもとに、医療や検査のためにX線撮影装置やCT装置、MRIなどの医療機器の操作を行います。さらに、体内の必要な部位の撮影を行い、医師が患者を診断・治療するための正確な画像情報を提供だけでなく、放射線による治療、管理も任される医療技術者です。診療放射線技師の業務は大きく分けて下記の4つがあります
(1)X線診断、(2)ラジオアイソトープ診断、(3)放射線治療、(4)放射線管理。
放射線医療は、最新の科学技術や医療技術が一番取り入れられる分野なので、仕事も日々高度になる医療に対応していかねばなりません。

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診療放射線技師になるには、診療放射線技師試験に合格し、厚生大臣の免許を受けなければなりません。文部科学大臣が指定した学校又は厚生労働大臣が指定した診療放射線技師養成所において、三年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えることにより受験資格が得られます。
(参考)
医療系の資格で業務独占があるのは、医師(医業)と、歯科医師(歯科医業)、助産師(助産行為)、看護師(診療補助)、薬剤師(調剤)、診療放射線技師(人体への放射線の照射)、歯科衛生士(歯石の除去)だけです。その他の検査技師や理学療法士、臨床工学技士、救急救命士などの資格は看護師の仕事の一部が特化し、その部分を分担しているのが医療系の法規定になっています。

試験の合格率・難易度

●難易度 
  「C」 やや易 (指定学校卒業又は養成校修了生)

【資格の難易度レベル】
診療放射線技師は毎年、試験の合格率が70%〜80%で推移する国家資格です。毎年の合格率は高水準ですが、決して試験の内容が易しいということではありません。この資格試験の受験資格を得るには、文部大臣が指定した学校、または厚生労働大臣が指定した診療放射線技師養成所において3年以上、診療放射線技師として必要な知識や技能の修了を終えなければなりません。従って、試験を受ける人は診療放射線技師の専門的な勉強をした人ばかりです。受験する時点では、ある程度の知識は身に付いているので、受験者からすれば、それほど難しい試験ではないのです。

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合格率  
 第73回診療放射線技師国家試験結果 
         出願者数3,355名
   受験者数2,953名 合格者数2,177名 合格率73.7%
 (合否基準)
  ・全科目受験者
  総得点 120点以上/199点
  0点の試験科目が1科目以下
 ・試験科目一部免除受験者
 配点を1問1点、合計98点満点とし、次の基準以上を合格とする。
  総得点59点以上/98点
  0点の試験科目が1科目以下
・第72回診療放射線技師国家試験結果 
      出願者数3,242名
  受験者数2,914名 合格者数2,397名 合格率82.3%
・第71回診療放射線技師国家試験結果 
  出願者数3,563名
  受験者数3,202名 合格者数2,537名 合格率79.2%
・第70回診療放射線技師国家試験結果 
  出願者数3,309名
  受験者数2,971名 合格者数2,237名 合格率75.3%
・第69回診療放射線技師国家試験結果 
   出願者数3,300名
   受験者数2,939名 合格者数2,511名 合格率85.4%

試験の内容・勉強法

診療放射線技師国家試験の試験科目では、下記の試験科目欄(1)の基礎医学大要で基本的な医学知識を問う問題が出題されます。専門科目の放射線科目の中では、放射線生物学をはじめ放射線物理学、放射化学などが重要科目です。それ以外では、医用工学や診療画像機器学、エックス線撮影技術学、診療画像検査学、画像工学、医用画像情報学などの診療放射線技師の業務に関係する画像についての専門科目や、放射線計測学、核医学検査技術学、放射線治療技術学及び放射線安全管理学などの、さらに高度な技術分野についての出題があります。
もう少し細かく見て行くと、午前の試験では、(1)化学物質の特性に関する問題、(2)化学物質の標識方法、(3)各種装置の使い方、(4)放射線装置の安全管理、JIS規格、保守取り扱い方法など
午後の試験では、(1)生物の知識(ATPやDNAなど)、(2)人間の各器官に関する知識、(3)各種の病気に関する知識、(4)放射線の人体への悪影響、(5)画像処理数学(フーリエ変換やROC解析)、(6)撮影技術、(7)放射線従事者の心得・ICRP勧告・法律などの出題が中心になっているようです。




試験対策としては、やはり過去問中心の勉強になります。過去問を繰り返して解いて、分からないところは教科書で分かるまで調べる、というやり方になります。過去問に多く当たっていくと、やっていくうちに傾向らしきものが見えてきますし、計算問題も割にパターン化されている事が多いことが分かってきます。結局、過去問集を片っ端から解いて、出題傾向を分析し苦手分野を克服していく手順がベストでしょう。
この資格の取得者は、専門学校や大学を出てすぐの20代~30代中頃の若者が多く、就職先は、 医療機器メーカー、放射線を扱う研究機関、大学、原子力関連企業などが多いようです。

法律で、診療放射線を体に照射できるのは診療放射線技師および医師・歯科医師のみと定められています。そのため、放射線医療機器を導入している医療機関では、診療放射線技師は不可欠となっています。また一方で、血管や臓器の造影検査やラジオアイソトープ検査の重要性が高まっており、診療放射線技師による検査が医師の診断には不可欠となっていますが、現在、この分野ではまだ資格を持つ人が不足しています。これらの状況が背景にあり、診療放射線技師は放射線を扱う病院や研究機関においては非常に大切な存在といえるのです。
➡2021年10月に施行された診療放射線技師法改正により、造影剤を使用した検査やRI検査のために静脈路を確保する業務が診療放射線技師の業務範囲に追加されました。

ただ近年、大学や専門学校など、診療放射線技師の養成学校がある程度揃ってきた結果、今後は資格を持つ人が増えてくることが予想され、就職活動も難しくなってくる可能性はあります。しかし、放射線関係の技術革新は続いているため、今のうちに十分な知識と高いスキルを身につけておけば放射線のスペシャリストとしての需要は変わらないと思われます。
例えば、スキルアップの例では以下にあげるような関連資格を取得することで、仕事の幅を広げたり、転職に生かすことも考えられます。

・検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
・第1種放射線取扱主任者
・磁気共鳴(MR)専門技術者
・X線CT認定技師
・肺がんCT検診認定技師
・血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師
・救急撮影認定技師
・医用画像情報専門技師
・核医学専門技師
・放射線治療専門放射線技師
・胃がん検診専門技師
・医学物理士
・診療放射線技師会が認定する認定資格

中でも「検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師」などは、女性にとっては大きな即戦力になる資格なので期待できます。
転職はしないで済むのであれば、それが一番なので、これからは放射線以外の高いスキルを身につけることを目標に早いうちから勉強されることが大切だと思います。

診療放射線技師の養成学校の中の専門学校では、夜間部も一部ありますが、ほとんどは昼間部なので、仕事をしながら診療放射線技師の資格をとるのは難しい状況にあります。
学費は、国立大学が一番安く、4年間の授業料は約220万程度。私立大学の場合は、4年間で600万~700万円くらいかかります。

試験日程

●申込期間:例年12月中旬~1月上旬頃まで
●試験実施:例年2月下旬
●合格発表日:例年3月下旬

令和4年実施 第74回診療放射線技師国家試験要綱と日程
          試験は終了しました。   

受験資格

(1)大学入学資格があり、文部科学大臣または厚生労働大臣指定の学校か養成所で3年以上学んだ者
(2)58年改正法施行時に診療エックス線技師であった者か診療エックス線技師試験受験可能看で、所定の学校などで1年以上学んだ者
(3)外国の診療放射線技術学校卒業者などで、厚生労働大臣が上記(1)に掲げる者と同等以上の知識・技能があると認めた者。

試験会場

北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、広島県、香川県及び福岡県
※試験科目の免除を受けて診療放射線技師国家試験を受けようとする人については、東京都に限ります。

受験費用

11,400円(収入印紙)

試験方式

●出題数
(1)基礎医学大要:30問 
(2)放射線生物学(放射線衛生学を含む):10問 
(3)放射線物理学:10問
(4)放射化学:8問 
(5)医用工学:7問 
(6)診療画像機器学:20問 
(7)エツクス線撮影技術学:20問
(8)診療画像検査学:20問 
(9)画像工学:5問 
(10)医用画像情報学:10問 
(11)放射線計測学:10問
(12)核医学検査技術学:20問 
(13)放射線治療技術学:20問 
(14)放射線安全管理学:10問  全14科目、合計200問
●試験時間(出題数)
  午前2時間30分(98問)  
  午後2時間35分(102問)
●合格基準
合格基準は合格発表後に掲示されますが、全部合わせて60%以上取れないとその時点で不合格になります。また、また、14科目中13科目以上の内、それぞれの科目において最低1問は正解していなければなりません(0点科目が2科目以上あると合格できません)

試験科目

  1. 基礎医学大要:解剖学、生理学、病理学、生化学、公衆衛生学、免疫学等の基礎医学全般、主要疾患の症状と検査適応(臨床医学)について
  2. 放射線生物学(放射線衛生学を含む):放射線の細胞・臓器・人体に対する影響のメカニズム、放射線障害の種類と症状、障害のレベルに関与する因子について
  3. 放射線物理学:原子の物理学的基礎、放射線の種類と特性、微視的レベルでの放射線と物質の反応、磁気・超音波の特性について
  4. 放射化学:放射線を発生する物質の種類と特性、放射性物質の定量法、放射性物質の取扱について
  5. 医用工学:放射線機器を構成する回路の基礎としての電気工学・電子工学について
  6. 診療画像機器学:X線発生装置と受像装置、一般撮影装置・撮影補助器具の原理、CT・MRI・DSA・超音波・眼底撮影等の機器の原理について
  7. エツクス線撮影技術学:X線撮影の基礎、解剖学、造影剤および各種投与薬剤の薬理、X線一般撮影法、CT撮影法、血管撮影法、および画像診断(読影)について
  8. 診療画像検査学:解剖学、MRI検査法、超音波検査法、眼底写真撮影法、疾患と検査の適応、および画像診断(読影)について
  9. 画像工学:放射線の撮影画像に対する画像解析法・画像評価法、画質について
  10. 医用画像情報学:放射線写真フィルムの原理と特性、デジタル画像、画像処理、情報処理工学について
  11. 放射線計測学:放射線の測定法とその原理、測定機器の種類と原理、各種放射線の線量計算について
  12. 核医学検査技術学:放射性医薬品の種類と体内での動態、核医学検査装置、核医学検査法、画像処理、検体計測、検査適応疾患、画像診断(読影)について
  13. 放射線治療技術学:治療適応疾患、治療用放射性物質、治療装置、外部照射法、小線源治療法、治療計画、線量測定、治療精度管理、治療方針について
  14. 放射線安全管理学:放射線障害、放射線関連の法令、被曝低減の対策、緊急被曝医療、放射線診療従事者の健康管理、放射性物質の取扱について                                             ※「58年改正法」による改正前の診療放射線技師及び診療エツクス線技師法に定める診療エツクス線技師試験に合格した人は次の科目を免除されます。
    基礎医学大要、放射線生物学(放射線衛生学を含む。)、放射線物理学、医用工学、エツクス線撮影技術学、画像工学、放射線計測学及び放射線安全管理学

試験関連情報

●試験関連情報

●関連資格
 放射線取扱主任者   
 エックス線作業主任者

問い合わせ先

・診療放射線技師国家試験臨時事務所
〒103-0027 東京都中央区日本橋1丁目20番5号 TEL 03(5200)5857
・厚生労働省医政局医事課試験免許室    http://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1丁目2番2号
 TEL 03(5253)1111 FAX03(3503)3559

【以下の各項には一部広告が含まれています。】

教材(テキスト・参考書)

診療放射線技師試験教材一覧

【診療放射線技師試験 おすすめ教材】
2019年版 診療放射線技師国家試験 完全対策問題集
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教材(過去問・問題集)

第69回診療放射線技師国家試験問題および正答
第70回診療放射線技師国家試験問題および正答
第71回診療放射線技師国家試験問題および正答
第72回診療放射線技師国家試験問題および正答

講座・スクール

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