資格の概要 | 「公害防止管理者」は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭など、特定の工場における「公害」に対して、燃料や原材料の検査や、騒音や振動の発生施設の調査、排出水や地下浸透水の汚染状態の測定など、管理することで未然に防いだり、行政機関や住民への折衝、その他の公害対策の設定などを行う専門資格です。特定の工場においては、一定の資格者の中から公害防止管理者を選任することが法律で、その設置者に義務付けられています。また、その工場を設置している者に対し、条例の規定を誠実に遵守するよう助言し、作業の方法や施設の維持等の技術的事項について、工場から公害を発生させないよう監督を行います。
環境に関する資格は、数多く存在しますが、そのほとんどは日本国内でのみ有効な資格になっています。その種類は、国家、公的、民間資格にそれぞれありますが、環境系の資格は、さらに化学系、生物系、工・物理学系に分けられます。その中の化学系に分類される資格としては、環境計量士(濃度、騒音・振動)と、公害防止管理者が代表的です。公害防止管理者は、経済産業大臣管轄の国家資格です。この資格所持者は、公害を防止する管理関係の知識と技術をもつ技術者と認められます。一般的には企業、工場に勤務し、経験を積んだ後、資格を取得し選任されることが多いようです。実従事者数は不明ですが、ニーズは多い資格です。
●「公害防止管理者」の種類と分類
大気関係第1種公害防止管理者
大気関係第2種公害防止管理者
大気関係第3種公害防止管理者
大気関係第4種公害防止管理者
水質関係第1種公害防止管理者
水質関係第2種公害防止管理者
水質関係第3種公害防止管理者
水質関係第4種公害防止管理者
騒音関係公害防止管理者
特定粉じん関係公害防止管理者
一般粉じん関係公害防止管理者
振動関係公害防止管理者
公害防止主任管理者
ダイオキシン類関係公害防止管理者 |
試験の合格率・難易度 | ●難易度
大気1種・水質1種 「B」 普通
【資格の難易度レベル】
試験については、「水質」の場合は、概論と法令は出題傾向があるので、過去問等でそれをつかむことが大事です。難易度が高いのは測定技術と有害物質処理技術です。問題内容が非常に細かいため練習問題や過去問で十分慣れておく必要があります。合格はこの科目の良否に左右されると考えていいでしょう。「大気」は物理が好きな人には有利と言われますが、化学の知識も少しは必要です。他には数学です。公式を導き出すのに微分積分や対数関数を使う必要があるため、大学受験程度の数学を理解できないと少し苦しいです。また大気特論では、燃焼計算と測定技術は必ず出題されます。受験対策はいづれの科目も独学で対応できますが、テキストの吟味が大切です。
また難易度ランキングは、種別では水質1種>2種>3種>4種、大気1種>2種=3種>4種>粉じん
全体的に見た場合は、水質>大気>騒音>振動>粉じん、ですが受験者の得意科目などによって、
水質>大気は入れ替わる可能性もあります。
●合格率
令和3年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 28.9%
申込者数23,434名 受験者数19,946名 合格者数5,774名
・令和2年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 26.0%
申込者数23,356名 受験者数20,008名 合格者数5,195名
・令和元年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 26.3%
申込者数26,642名 受験者数23,507名 合格者数6,189名
・平成30年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 27.2% 受験者数22,741名 合格者数6,183名
・平成29年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 24.8% 受験者数24,332名 合格者数6,024名
・平成28年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 25.8% 受験者数24,690名 合格者数6,382名
・平成27年度公害防止管理者試験結果
全平均合格率 25.5% 受験者数25,562名 合格者数6,525名 |
試験の内容・勉強法 | ●受験対策
公害防止管理者は環境保全の為の国家資格です。合格率は近年25~30%前後で、学習期間の目安は6ヶ月~8ヵ月。テキストや参考書を利用しての独学の合格者も多いですが、テキストの選択が重要で、この良し悪しが結構あるのでテキスト選択には注意要です。また、通信教育もありますが、通信教育を受講する場合は、産業環境管理協会の通信教育が一番良く、お薦めです。
公害防止管理者資格の取得には、国家試験の受験以外に資格認定講習の受講の方法がありますが、これは技術資格、又は学歴及び実務経験のある者が書類審査を経て一定の講習を受講し、有資格者となる方法です。公害防止管理者は資格取得者のほとんどが20代~30代で、最近では就職対策のため、理系大学生の取得者が増えてきています。化学関連工場や企業に就職希望の場合は取得して損はありませんが、 実践面を考えて取得するのなら「水質」がよいでしょう。「騒音」や「振動」などは必要な企業では有用ですが一般的にはあまり役立ちません。
環境問題への意識が非常に高まっている現在、需要はこれからいっそう高まることが予想されます。また、有資格者は企業内での評価も高く、手当の支給される企業も少なくありません。
公害防止管理者試験に合格すると、以下の資格を取る場合には有利になります。
・「作業環境測定士」:分析概論が免除される(振動・騒音は不可)
・「東京都公害防止管理者資格」:登録手続きをすれば「東京都一種公害防止管理者」の資格が取得できます。
・水質1又は2種と大気1又は2種の両種があれば「ダイオキシン類」を講習で取得できます。
・水質1又は3種と大気1又は3種の両種があれば「公害防止主任」の資格が取得できます。
・水質1・3種及び大気1・3種・主任のいずれかがあれば「技術士」の一次共通科目が免除。
●おすすめの受験学習法
独学、又は通信講座
・協会の資格認定講習
・公害防止管理者等受験講習会
・協会の公害防止管理者通信教育
・テキスト
公害防止管理者試験対策教材一覧
・問題集
(大気関係)
・公害防止管理者等国家試験 正解とヒント 大気関係第1種~第4種/特定粉じん関係/一般粉じん関係〈2014~2018年度〉
(水質関係)
・公害防止管理者等国家試験 正解とヒント 水質関係第1種~第4種〈2014~2018年度〉
(騒音・振動関係)
・公害防止管理者等国家試験 正解とヒント 騒音・振動関係〈2014~2018年度〉
(ダイオキシン関係)
・公害防止管理者試験 ダイオキシン類 精選問題 |