資格名

・環境計量士(濃度) 
・環境計量士(振動・騒音)
・一般計量士

資格の種類

国家資格

主催者

独立行政法人産業技術総合研究所の計量研修センター

資格の概要

「計量士」とは、計量に関する専門の知識・技術を有する者に対して一定の資格を与え、計量器の自主的管理を推進し、適正な計量の実施を確保することを目的とするもので、「計量士」は計量管理を職務とする者を指します。

計量士の資格には、環境計量士(濃度関係)と環境計量士(騒音・振動関係)、一般計量士の3種類があります。
①環境計量士(濃度関係)
大気中の汚染物質や水質の汚濁、土壌汚染、悪臭物質等の測定及び計量管理を行います。
②環境計量士(騒音・振動関係)
建設工事等の騒音や、道路(自動車)や鉄道、航空機の騒音の測定及び計量管理を行います。
③一般計量士
生産工場や百貨店・スーパーマーケットなどで使用される計量器の整備や、計量の正確の保持、計量方法の改善、その他適正な計量の実施を確保するために必要な措置を行います。
調査・検査業務の入札で管理技術者や主任技術者の資格要件として環境計量士を指定する自治体もあったり、また
一般計量士は取引や証明などにおいて適正な計量を確保する業務などが決められています。環境汚染物質が発生する工場や事業所には、汚染物質の測定と記録が義務づけられていること等もあり、いづれも重要な国家資格です。

計量士になるためには。経済産業大臣の登録を受ける必要があり、その要件は、以下の二通りです。
①計量士国家試験に合格し、かつ、それぞれの定められた実務の経験などの要件を満たし、計量士登録をする。
②国立研究開発法人産業技術総合研究所(計量研修センター)の実施する教習の課程(一般計量教習3カ月)を修了し、かつ、計量士資格認定を受け、定められた実務の経験などの要件を満たし、計量士登録をする方法。

令和5年2月末時点での計量士の登録者数は、
環境計量士(濃度関係):約12,200人   環境計量士(騒音・振動関係):約3,600人
一般計量士:約14,900人




試験の合格率・難易度

難易度
 一般計量士    「B」  普通 
 環境計量士(濃度/騒音・振動)   「A」  難関 

【資格の難易度レベル】
環境計量士は、理系資格の中でも取得を途中で断念する人が多い資格の一つで、試験の難易度は高いですが、技術士よりは易しく、公害防止管理者よりは数段難易度は高く、合格率15%前後の試験です。環境関連資格の中では、技術士の次に難易度の高い資格です。知識レベルは大学受験レベルの化学の知識が必要で、試験では特に化学分析概論及び濃度の計量に関する難問が多く出題され、計量および計量管理に必要な知識と技能が問われます。
環境計量士の難易度は一般計量士に比べては、やや高いと考えていいでしょう。ただ、試験問題が数学や物理に関係する問題がほとんどなので、理系が得意な人にとってはそれほど難易度は高くないかも知れませんが、文系や理数が苦手な人にとっては、難易度はかなり高くなります。数学計算や物理などが苦手な人は、過去問と高校生レベルの問題集で繰り返し基礎固めと問題を十分にこなすことが必要ですが、試験は大学レベルなので大学の教科書を理解し、過去問が解けるようにならねば十分ではありません。


合格率
・令和5年 (第73回)計量士試験結果 
(一般計量士) 
  合格率24.9% 受験者数766名 合格者数191名
(環境計量士) 
  濃度17.9% 受験者数1,856名 合格者数333名
  騒音・振動 18.3% 受験者数616名 合格者数113名
・令和4年 (第73回)計量士試験結果 
(一般計量士) 
  合格率22.7% 受験者数802名 合格者数182名
(環境計量士) 
  濃度16.8% 受験者数1,832名 合格者数308名
  騒音・振動 19.8% 受験者数622名 合格者数123名
・令和3年 (第72回)計量士試験結果 
(一般計量士) 
  合格率23.4% 受験者数820名 合格者数192名
(環境計量士) 
  濃度16.8% 受験者数1,937名 合格者数326名
  騒音・振動 17.5% 受験者数628名 合格者数110名
・令和2年 (第71回)計量士試験結果 
(一般計量士) 
  合格率21.0% 受験者数813名 合格者数171名
(環境計量士) 
  濃度16.4% 受験者数1,817名 合格者数298名
  騒音・振動 18.4% 受験者数572名 合格者数105名
・令和元年12月実施 (第70回)計量士試験結果 
(一般計量士) 
  合格率22.5% 受験者数939名 合格者数211名
(環境計量士) 
  濃度15.4% 受験者数2,250名 合格者数346名
  騒音・振動 17.5% 受験者数736名 合格者数129名

試験の内容・勉強法

【勉強法について】
●一般計量士
試験の難易度は公害防止管理者よりやや難しいというレベル。受験が全く初めての人は、過去問とその解答が理解出来るようにすることから勉強を始めた方が良いと思います。勉強方法はテキストや参考書を読んで理解しながら、問題集や過去問を解くという手順になりますが、一般計量士のテキストや参考書が少ないので、早めに購入しておくことをお勧めします。問題集は日本計量振興協会発行の本がいいと思います。
一般計量士主な業務は、都道府県の計量検定所の定期検査の代行、計量証明事業者の事業所の軽量器の整備など。主に、企業、官公庁などで使用する計量器具の検査などを行う資格なので安定したニーズがあります。
●環境計量士(濃度関係)/(騒音・振動関係)
計量士試験の受験は、どの試験対策も問題集や過去問集を中心に学習を進める方法が良いようです。理由は、比較的試験範囲が広いため、まず問題集や過去問集を進めることで重点箇所や出題傾向をつかむ必要があるからです。
従って、問題集や過去問題を解くときには、解答だけでなく解説も十分に読むことで理解しながら学習を進めるということが大切になります。解説がよくわからないときはテキストや参考書を読んで穴を作らないようにする勉強を目指します。
環境計量士は社会からのニーズが高く、就職、転職においても有利な資格ではありますが、この資格に合格できたらさらに上位の、技術士や弁理士などに挑戦する道もあります。他には環境コンサルタントも目標にできます。

【出題傾向について】
●一般計量士 
 一般計量士対策に関しては、日本計量振興協会が発行するテキストと過去問題集で学習する方法が効果的であることを他のところでも紹介されています。
●環境計量士(濃度関係)
・基礎知識
 環境基本法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法などの法律関係の問題と、高校~大学一般教養レベルの化学の問題の出題が多い。大学で化学を専攻した人はかなり有利。
・化学分析概論及び濃度の計量
 原子吸光分析、ICP発光分析、クロマトグラフィー、濃度計などの分析機器の問題と分析法の問題
・計量関係法規
 計量法からの出題が多い
・計量管理概論
 統計学の基礎を中心にした出題が多い
●環境計量士(振動/騒音関係)
・環境関係法規
 5問は環境基本法、騒音規制法、振動規制法からの出題
・計量基礎知識
 高校の基礎物理と大学一般教養レベルの力学、波動、電磁気学、核物理、熱力学から出題多い
・音響 振動概論
 計算問題が半分と現象、測定方法、規格などの知識問題が残り半分
 環境計量士(振動/騒音関係)対策では、主に高校~大学教養レベルの物理を、計算・知識問題の出題も含めて、ていねいにやっておけば問題はないと思われます。



環境に関する資格は、数多く存在しますが、そのほとんどは日本国内でのみ有効な資格になっています。その種類は、国家、公的、民間資格にそれぞれありますが、環境系の資格は、さらに化学系、生物系、工・物理学系に分けられます。その中の化学系に分類される資格としては、環境計量士(濃度、騒音・振動)と、公害防止管理者が代表的です。環境計量士は、経済産業大臣から与えられる国家資格であり、この資格所持者は、汚染や騒音、振動の測定、分析の専門知識と経験をもつ技術者と認められます。

試験日程

・試験実施:<年1回>毎年12月中旬の日曜日(実施時期の詳細は6月上旬の官報又は経産省HPで確認要)
・願書配布期間:7月からの約1カ月間を予定
・願書受付期間:7月上旬から約1カ月間を予定 (毎年 7月上旬~8月上旬頃) 
・合格発表:  2月中旬頃

 試験日程は環境計量士、一般計量士共通です。
令和6年実施 第75回計量士国家試験実施日程  
令和6年度(第75回)計量士国家試験直前対策講習会

受験資格

学歴、年齢その他一切の制限はなく、誰でも受験できます。

試験会場

北海道(札幌)、東北(仙台)、関東(東京)、中部(名古屋)、近畿(大阪)、中国(広島)、四国(善通寺)、九州(福岡)、沖縄(那覇)の9会場

受験費用

・ 8,500円(収入印紙を貼付)

試験方式

試験は、「環境計量士(濃度関係)」、「環境計量士(騒音・振動関係)」、「一般計量士」の3区分からなっています。

●試験方式
 ・環境計量士(濃度関係)、環境計量士(騒音・振動関係)、一般計量士 3試験共に試験方式は同一です。
   試験方式:筆記試験(五肢択一式)
   出題:1科目25問×4科目
   試験時間:専門科目80分 共通科目70分 
●合格基準 以下の①と②の両方の基準を満たすものが合格となります。
 ①専門2科目の合計
   環境計量士(濃度関係):50問中、25問(100点)以上の正答が必要。
   環境計量士(騒音・振動関係)50問中、27問(108点)以上の正答が必要。
   一般計量士:50問中、28問(112点)以上の正答が必要。
 ②共通2科目の合計:全試験区分とも50問中、30問(120点)以上の正答が必要。
●科目免除
濃度、騒音振動、一般のいずれかの合格者は、合格した試験以外の区分において、「計量関係法規」及び、「計量管理概論」が免除されます。

試験科目

出題科目
共通科目 2科目【(3)計量関係法規と(4)計量管理概論】と、他に資格区分別に計量に関する基礎知識と、各々計量問題が出題されます。
●環境計量士(濃度関係)
 (1)環境関係法規および化学に関する基礎知識
 (2)化学分析概論、および濃度の計量
 (3)計量関係法規(共通科目)
 (4)計量管理概論(共通科目)
●環境計量士(騒音・振動)
 (1)環境関係法規および物理に関する基礎知識
 (2)音響・振動概論、ならびに音圧レベルおよび振動加速度レベルの計量
 (3)計量関係法規(共通科目)
 (4)計量管理概論(共通科目)
●一般計量士
 (1)計量基礎知識  (物理、数学)
 (2)計量器概論、質量計量
 (3)計量関係法規(共通科目)
 (4)計量管理概論(共通科目)

◆試験科目の一部免除
すでにいずれかの試験区分で合格している者が、ほかの区分を受験する場合には、申請に基づき上記科目のうち、③計量関係法規と④計量管理概論の2科目が免除されます。

試験関連情報

【資格の難易度情報】
・資格の難易度とランキング(環境計量士 一般計量士)
ジャンル別資格の難易度ランキング

●試験関連情報
平成23年度から計量士国家試験は「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」に基づき市場化テストとして試験実施業務を請け負った民間企業により行われています。

●関連資格
 公害防止管理者

問い合わせ先

・経済産業省 産業技術環境局 計量行政室  http://www.meti.go.jp/intro/data/akikou06_1j.html
TEL03(3501)1688(直)
※願書等についての問い合わせは、各経済産業局へ直接問い合わせる。
・日本計量振興協会 http://www.nikkeishin.or.jp/

・日本通運株式会社 計量士国家試験係
  電話:(フリーダイヤル)0120-040-608

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教材(テキスト・参考書)

計量士試験対策教材一覧

【環境計量士試験 おすすめ教材】
一般計量士試験 一基・計質 攻略問題集 
はじめて学ぶ 環境計量士試験 濃度関係 (国家・資格シリーズ 228)
図解入門よくわかる最新分析化学の基本と仕組み[第2版]

 

教材(過去問・問題集)

経済産業省公式サイト掲載の過去の計量士国家試験問題
一般社団法人日本環境測定分析協会掲載
国家試験問題解答と解説

 

講座・スクール

環境計量士国家試験 受験準備基礎講習会(一般社団法人日本環境測定分析協会)
計量士国家試験準備講習会(日本計量振興協会)