資格の概要 | 管理栄養士は、栄養士の上位資格で、厚生労働大臣の免許である名称独占資格です。栄養士に比べてその知識は専門的で幅広く、業務内容自体も栄養士より高度なものになります。
管理栄養士になるには、以下のいずれかの方法で管理栄養士国家試験に合格し、厚生労働省の管理栄養士名簿に登録する必要があります。
・管理栄養士養成施設を卒業する
・栄養士の資格を取得し、管理栄養士国家試験に合格する
※管理栄養士養成施設は、以下の2種類があります。
・4年制大学の管理栄養士課程
・4年制専門学校の管理栄養士課程
管理栄養士養成施設を卒業すると、栄養士と管理栄養士の資格を同時に取得することができます。
管理栄養士は、主に以下の業務に従事します。
・健康増進や疾病予防のための栄養指導
・集団給食の管理・運営
・食品の栄養評価
・栄養に関する研究・開発
管理栄養士資格の取得者の状況
2023年7月時点で、管理栄養士の資格取得者は累計で約24.4万人です。そのうち、女性が約95%を占めています。
◆ 「栄養士」と「管理栄養士」の違い
栄養士と管理栄養士は、どちらも栄養の専門家ですが、主に指導する対象や業務内容が異なります。
・指導対象の違い
栄養士は、主に健康な方の栄養指導や給食の管理を行います。一方、管理栄養士は、健康な方以外の方の栄養指導や給食の管理、栄養に関する研究・開発などを行い、その対象は病気や障害のある方、高齢者、妊婦・授乳婦などです。
・業務内容の違い
栄養士は、学校給食や企業給食の管理、食育に関する講演や指導などを行うことで、健康的な食生活の普及に貢献しています。一方、管理栄養士は、病院や介護施設で、患者や利用者の栄養状態を把握し、適切な食事を提供することで、健康の回復や維持を支援しています。
・資格取得の違い
栄養士は、栄養士養成施設を卒業することで取得できます。一方、管理栄養士は、栄養士の資格を有する者が、管理栄養士国家試験に合格することで取得できます。
栄養士と管理栄養士は、どちらも栄養の専門家として、人々の健康を支える重要な役割を担っています。栄養士は、主に健康な方の食生活をサポートする役割を担い、管理栄養士は、より高度な知識とスキルを用いて、健康な方以外の方の栄養指導や給食の管理、栄養に関する研究・開発などを行う役割を担っています。
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試験の合格率・難易度 | ●難易度
「A」 難関
【資格の難易度レベル】
管理栄養士国家試験の最近の合格率は50〜60%台で推移していますが、2023年の合格率は56.6%で、前年から8.5ポイント下回りました。
試験の出題範囲が広く、近年は栄養指導や食事療法に関する問題など、実践的な問題も増えてきているため、難易度が高くなってきています。また一方で、受験者数が増加傾向にあるため、合格率が下がるという傾向もあります。もともと管理栄養士国家試験は、難易度の高い試験ですが、効率的な勉強法でしっかりと対策すれば、合格を勝ち取ることができます。
そのためには、栄養学の知識だけでなく、実務経験やコミュニケーション能力も重要です。また長期間の勉強が必要となるため、勉強のモチベーションを維持することも大切です。目標を立てたり、仲間と一緒に勉強するなど、自分に合った方法でモチベーションの維持を工夫することが大切です。
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●合格率
令和3年(第35回)管理栄養士国家試験結果
合格率 64.2% (受験者16,019名 合格者10,292名)
・令和2年(第34回)管理栄養士国家試験結果
合格率 61.9% (受験者15,943名 合格者9,874名)
・平成30年(第32回)管理栄養士国家試験結果
合格率 60.8% (受験者17,222名 合格者10,472名)
・平成29年(第31回)試験結果
合格率 54.6% (受験者19,472名 合格者10,622名)
【試験結果内訳】学校区分別合格者状況
・管理栄養士養成課程(新卒)
受験者数9,425名 合格者数8,704名 合格率92.4%
・管理栄養士養成課程(既卒)
受験者数1,918名 合格者数353名 合格率18.4%
・栄養士養成課程(既卒)
受験者数8,129名 合格者数1,565名 合格率19.3% |
試験の内容・勉強法 | 管理栄養士になるには、以下の2つの方法があります。
1. 4年制の管理栄養士養成施設を卒業する。
2. 2~4年制の栄養士養成施設を卒業後、栄養士として3~5年の実務経験を積み、管理栄養士国家試験に合格する。
4年制の管理栄養士養成施設では、管理栄養士国家試験合格に向けたカリキュラムが組まれているため、効率的に資格を取得することができます。一方、2~4年制の栄養士養成施設を卒業した場合には、働きながらの受験になるため、勉強の時間を捻出するのが難しいというデメリットがあります。
管理栄養士国家試験に合格するためには、以下の3つのポイントを押さえることが大切です。
1.出題範囲をきちんと理解する
管理栄養士国家試験の出題範囲は、栄養学、食物学、食品衛生学、公衆衛生学、社会福祉、倫理など、幅広い分野にわたりますので、まず出題範囲をきちんと理解し、全体像を把握することが大切です。
2.過去問を解いて傾向をつかむ
過去問を解いて、出題傾向をつかむことも大切です。問題の形式や出題頻度を把握することで、効率的な勉強ができるようになります。
3.実践的な問題にも対応できるようにする
近年は、実践的な問題も増えてきていますので、対応できるように模擬試験や演習問題を解いて実践力を身につける必要があります。
具体的な勉強方法としては、以下①~⑤のようなことが挙げられます。
①学校の授業や講義をしっかり受ける
②教科書や参考書を読んで知識を定着させる
③過去問を解いて傾向をつかむ
④模擬試験や演習問題を解いて実践力を身につける
⑤管理栄養士の方に受験体験を聞き、分からないことを相談する
特に、近年は生活習慣病の増大や高齢化社会の到来により、管理栄養士の需要は高まっています。また、管理栄養士は栄養に関する専門的な知識とスキルを身につけた人です。幅広い分野で活躍できる資格であり、取得することでさまざまなメリットがあります。
(メリット)
・栄養士として就職・転職の際に有利になる
・給与や待遇が向上する
・栄養に関する知識やスキルを身につけることができる
中でも特に、管理栄養士の資格を取得することで、病院や学校、保育園、企業など、様々な分野で栄養管理や栄養指導などの仕事に就くことができ、活躍できます。健康志向の近年では人気の資格になっています。
●「栄養士」と「管理栄養士」の違いについて
栄養士の資格には栄養士と、管理栄養士の2資格があります。この2つには資格を取得する方法や、難易度、知識、仕事内容などに大きな差があります。
栄養士よりもワンランク上で、栄養士への指導も行うこともできる資格が管理栄養士です。
管理栄養士としての就職先は、栄養士と同じで病院・学校・福祉施設などのほか、食品メーカーへなど。ただ現状では高齢化が進み、老人ホーム数が増加していることもあり、病院・学校・高齢者介護施設や、福祉施設、給食会社などが多くなっています。また仕事は傷病者の療養のための必要な栄養の指導や、スポーツマンに必要な栄養の指導、学校の給食やレストランで出す食事の栄養指導などもあり、あらゆるところで活躍できます。
特に今後は、生活習慣病の増大や高齢化社会の到来により、健康を改善・維持するためのバランスがとれた食生活を指導し、栄養や食べ物の管理と健康の専門家として、管理栄養士の需要は増えるでしょう。 |