資格名

海技士(航海)、航海士

資格の種類

国家資格(業務独占)

主催者

国土交通省 海事局海技・振興課試験係

資格試験の概要

「海技士」とは、船長や航海士などといった船舶職員として船舶に乗り組むために必要な資格で、国土交通省管轄で海技従事者国家資格のうちの1つです。
海技士免許には、職種に応じて航海・機関・通信・電子通信の4種類があり、航行する区域や船の大きさ、担う業務などにより以下のように分かれています。
 ・海技士(航海)1級~6級
 ・海技士(機関)1級~6級
 ・海技士(通信)1級~3級
 ・海技士(電子通信)1級~4級

海技士(航海)は、船長や航海士になるための免許で、6級から遠洋航路の大きな船の船長になれる1級まで、航行海域や船舶の総トン数に応じた6つの試験級と、船橋(ブリッジ)の当直業務に限定される船橋当直3級の合計7つの試験級に分かれます。そして、受験級ごとに満たさなければならない要件が設けられています。

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試験を受けるには18歳以上で、試験級に応じて1~4年の乗船履歴が必要になります。また免許を取得するには、試験合格後1年以内に所定の講習を受講修了して免許申請を行わなければなりません。尚、無線電信設備のある船舶や、国際航海をする船舶の船長や航海士になるには、海技士免許のほかに海上無線従事者の免許も必要になります。
また、重さ20トン未満の小さな船舶については、小型船舶操縦士という別の資格が必要になります。

資格としての有効期限はありませんが、業務を行う上で必要な海技免状については、5年ごとに更新の手続きを行う必要があります。
有効期限の1年前から更新の手続きを行うことができますが、有効期限を経過した場合は失効となり、再交付申請のための失効再交付講習を指定講習機関で受講する必要があります。

合格率・資格難易度

難易度
  3級  「B-下」  普通の下位

海技士の難易度ランキング 

【資格の難易度レベル】
海技士国家試験は、船舶の運航に必要な知識・技能を有する者に与えられる国家資格です。試験は筆記試験と口述試験の2つから構成されています。筆記試験では、航海計器や海図、航法計算、気象、海事関係の法律、船体構造計算など、海技士に必要な専門的な知識が問われます。口述試験では、航海士としての実務経験や知識が問われます。難易度は高い順に1~6級に分かれており、上位級の難易度は非常に高いです。級別では、もちろん1級が一番難しい資格ですが、2級も同程度に難関です。3級は専門の大学を出ていれば取得が可能ですが、法律や船体構造計算等々、超専門的な知識が問われる試験で、難易度は高く一般の人には難しいでしょう。4級は船関係の高校出身で取得可能なレベルで、3級を勉強するときの基礎知識が習得できます。
どの級も難易度は高いですが、専門の学校や通信講座で学習することで、合格を目指すことができます。
近年、海技士国家試験の合格率は上昇傾向にあります。これは、海運業界の人手不足が深刻化していることや、女性の航海士志望者が増加していることなどが背景として考えられます。

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合格率 
2021年度 海技士国家試験(定期+臨時試験)結果
(航海)
・1級:受験者数52名 合格者数18名 合格率34.6%  
・2級:受験者数99名 合格者数24名 合格率24.2% 
・3級:受験者数48名 合格者数16名 合格率33.3% 
・4級:受験者数318名 合格者数219名 合格率68.9% 
・5級:受験者数32名 合格者数22名 合格率68.8% 
・6級:受験者数26名 合格者数23名 合格率88.5% 
(機関)
・1級:受験者数36名 合格者数7名 合格率19.4%  
・2級:受験者数52名 合格者数12名 合格率22.2% 
・3級:受験者数37名 合格者数12名 合格率32.4% 
・4級:受験者数177名 合格者数83名 合格率46.9% 
・5級:受験者数24名 合格者数10名 合格率41.7% 
・6級:受験者数15名 合格者数9名 合格率60.0% 
2019年10月 海技士(航海)合格者数(近畿運輸局内)
・1級(筆記)合格者数2名 (総合)合格者数1名 
・2級(筆記)合格者数0名 (総合)合格者数1名 
・3級(筆記)合格者数1名 (総合)合格者数2名 
・4級(筆記)合格者数1名 (総合)合格者数1名 
・5級(筆記)合格者数0名 (総合)合格者数4名
2018年海技士(航海)合格者数(近畿運輸局内)
・1級(筆記)合格者数5名 (総合)合格者数0名 
・2級(筆記)合格者数11名 (総合)合格者数1名 
・3級(筆記)合格者数13名 (総合)合格者数5名 
・4級(筆記)合格者数12名 (総合)合格者数4名 
・5級(筆記)合格者数5名 (総合)合格者数11名
2017年度海技士試験結果 
1級 航海(筆記試験)
 受験者数164名 合格者数53名 合格率32.3%
・2016年度海技士試験結果 
1級 航海(筆記試験)
 受験者数155名 合格者数60名 合格率38.7%

受験対策・学習法ほか

現在の船舶職員法に定められた海技従事者国家試験の合格者に与えられるのが「航海士」の免許です。「海技士(航海)」は、その海技従事者国家資格のうちの1つを言います。航海士は、船舶の航行に必要な知識・技能を有する者です。航海計器の操作や海図の読み取り、航法計算、気象、海事関係の法律、船体構造計算など、幅広い知識と技能を身につける必要があります。
海技士国家資格の中に航海分野と機関分野があります。そして海技士国家資格の航海分野に合格した人が航海士として勤務することができることになります。一方、海技士国家資格の機関分野に合格した人は機関士として仕事をすることができます。取得した海技士免許の級によって乗船できる船は異なりますが、上級試験に合格することでさまざまな大きさの船に勤務することができるようになります。



輸入や輸出が安定している限り、航海士の求人数は、毎年安定しており不況にも強い職種です。航海士の就職先には貿易会社、商船会社、海上保安庁、外航海運会社など、または国内輸送専門の内航海運会社もあります。近年では、女性の航海士志望者も増加しています。
ただ、内航船員は日本国内の貨物輸送に欠かせない存在ですが、高齢化や人手不足により、深刻な不足に直面しています。内航船員の不足は、運航スケジュールの遅延や運航中止などの影響を引き起こしています。海技士の資格をもっていれば将来仕事に困ることはないと思いますが、現状では求人の大半が、大型タンカー船や大型貨物船が占めている状況です。

受験資格

●海技士(航海)  ➡詳しい受験資格
受験資格を得るための方法としてはいくつかありますが、代表的なものは以下の通りです。
 ⇒ 試験開始日の5年以内を含む15年間以内に、各級に応じた規定の乗船履歴がある者。
※年齢制限(取得は18歳以上)はありませんが一定の乗船経歴が必要になります。ただし、学科試験のうち筆記試験については基本的に乗船履歴が無くても受験できます。
※3級または4級を受験するためには、商船大学もしくは海上技術短期大学などの卒業資格と同時に一定の乗船実習を終えている必要があります。また、1級または2級を受験するには階級に応じた乗船履歴が必要になります。

試験方式

●海技士(航海)
・試験の構成
 (学科試験)筆記試験と口述試験、(身体検査)で構成されています。
 ※学科試験は質疑応答や面接、身体検査は視力、聴力、疾患の有無などで実施されます。
・試験時間と出題数
 1級/2級 航海:5問 3時間、法規:3問 2.5時間、運用:5問 3時間、英語:2問 2時間
 3級 航海:4問 3時間、法規:3問 2.5時間、運用:4問 3時間
 4級/5級 航海:4問 2.5時間、法規:3問 2時間、運用:4問 2.5時間
 6級 航海:15問 1時間、運用:15問 1時間、法規:20問 1.5時間
 船橋当直3級 - 航海:4問 3時間、法規:3問 2.5時間、運用:4問 3時間
・合格基準
(筆記試験)
①全科目を受験した場合には、各試験科目について、それぞれ配点総計の50%に達し、かつ全科目の得点総計が65%に達した場合に筆記試験合格となります。
②科目免除により、一部の科目について受験した場合には、受験した科目について、それぞれが65%に達したものを筆記試験合格とし、一科目でも65%に達しないものがあるときは不合格となります。
※①、②で不合格となった場合でも、得点が65%に達した科目は合格(科目合格)となります。
(口述試験)
得点の総計が配点総計の65%に達した場合、合格となります。

・筆記試験免除
①「筆記試験」に合格し口述試験に不合格の場合、15年間この筆記試験は免除になります。
②国交大臣により登録した船舶職員養成施設の課程を修了した者は「筆記試験」が免除されます。
③筆記試験において筆記不合格となった場合、一部の科目について基準点に達していれば、その科目は合格となり2年間その科目についての試験は免除されます。

試験科目

●1級~6級
【筆記試験】
・計測機器
・船舶知識(動力、設備、構造等)
・気象知識
・緊急時の知識
【口述試験】
・計測機器
・船舶知識(動力、設備、構造等)
・気象知識
・緊急時の知識
【身体検査】
・視力、聴力、疾患の有無

●船橋当直3級
【筆記試験】/【口述試験】
・機器知識
・構造知識
・航法
・気象
・法知識
・英語
・貨物
・緊急時の知識
【身体検査】
・視力、聴力、疾患の有無

※6級の海技士(航海)については筆記試験と口述試験の片方のみの受験でよいとされています。
※身体検査は、視力(矯正視力で0.6以上)と、弁色力(色を正しく認識する力)、聴力、眼疾患の有無、疾病の有無などが検査対象になります。

スケジュール

試験実施:年4回(4月中旬、7月上旬、10月中旬、2月上旬頃)

2023年度海技士国家試験日程
関東運輸局
近畿運輸局
中国運輸局
九州運輸局
沖縄運輸局

試験会場

(地方運輸局)札幌、仙台、横浜、新潟、名古屋、大阪、神戸、広島、高松、博多、那覇

受験料

海技士(航海)
・1級、2級 
筆記:7,200円 口述:7,500円
・3級
筆記:5,400円 口述:5,500円
・4級、5級 
筆記:3,500円 口述:3,700円
・6級 
筆記:2,400円 口述: 3,000円
・船橋当直3級 
筆記:5,400円 口述:5,500円

問い合わせ先

 横浜市中区北仲通5-57
 045-211-7232
近畿運輸局
 大阪市中央区大手前4-1-76
  06-6949-6434
神戸運輸監理部
 神戸市中央区波止場町1-1
 078-321-7053
沖縄総合事務局
 那覇市おもろまち2-1-1
 098-862-1454
・その他の地方運輸局は下記参照ください。
 国土交通省各地方運輸局 海上安全環境部労働環境・海技資格課
 http://www.mlit.go.jp/kokkasiken/kaigisi_.html

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通信講座・eラーニング

独立行政法人 海技大学校

通学スクール・講座

独立行政法人 海技教育機構
船舶職員養成施設

教材(過去問集)

海技試験 過去問

教材(テキスト・参考書)

【海技士試験(航海) おすすめ教材】
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