【資格の概要】
◆どんな資格?
「学芸員」は、日本の博物館法に定められた、博物館(美術館、天文台、科学館、動物園、水族館、植物園)などに勤務する専門的職員、及び、その職に就くための国家資格を言います。学芸員は博物館等において、資料の収集から保管をはじめとする業務を行い、その価値を広く伝えていく任務があります。そのため、各博物館等が扱う分野に対して専門的な知識を身につけていなければなりません。
◆学芸員補は、どんな資格?
「学芸員補」は、学芸員の職務を補佐する職員です。博物館法では、高等学校を卒業した人や、高等学校卒業程度認定試験や大学入学資格検定に合格している人は学芸員補として働く資格があるとしています。
◆学芸員の資格を取得するには。
学芸員の資格取得には、2通りの方法があります。以下の①から②のいずれかの条件を満たせば、学芸員の資格を取得したことになります。
①大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得し、大学を卒業して学士の学位を取得する。
②大学に2年以上在学して、博物館に関する科目の単位を含めた62単位以上を修得し、3年以上「学芸員補」として働いた経験があった場合も、学芸員の資格を取得したことになります。
※博物館に関する科目の単位を履修できる学校
➡ 学芸員養成課程大学一覧(令和6年4月1日現在)
◆学芸員になるには。
学芸員の資格認定には、筆記試験による「試験認定」と、それまでの学識および業績を審査する「審査認定」の2つの方法があります。
・試験認定
試験認定では、筆記試験が行われ、この試験に合格すれば筆記試験合格証書が授与されます。筆記試験合格者が合格後1年間学芸員補の職を経験し、文部科学大臣に認定されることにより学芸員の資格を有することになります。
・審査認定
博物館に関する学識、および業績について書類審査が行われます。さらに、学芸員としての意欲、態度および向上心を確認するための面接も実施されます。これらの審査に合格すれば合格証書が授与され、学芸員となる資格を有することができます。一般的な取得方法は、上記①の大学にて指定の科目を履修して卒業し、学位を取得する方法です。尚、国立の博物館などの場合は、自治体の採用試験に合格しなくてはなりません。
◆資格取得のメリットは。
・博物館での就職・転職に有利になる。
資格を持っていることで、就職・転職の選択肢が広がり、希望する博物館で働きやすくなります。
・専門的な知識とスキルを習得できる
博物館に関する幅広い知識と、資料の収集・保管、展示、調査研究などのスキルが身に付きます。
・生涯学習の機会となる
資格取得を目指す過程で培った学習意欲は、生涯学習の基盤となり、仕事以外の場でも活かせます。
◆資格の将来性は?
学芸員の仕事は、社会の変化とともに常に求められています。近年では、オンライン展示や教育プログラムの充実など、博物館の活動形態も多様化しており、学芸員にはより高度な専門性とスキルが求められています。今後も、学芸員の資格は博物館での就職・転職に必須の資格であり続けると考えられます。
◆「博物館法の一部改正」で試験が変わる点は?
文部科学省が試験実施回数の見直しを含む博物館法施行規則の一部を改正する省令を公布したことで、学芸員の資格を認定する試験が2024年度以降、隔年の実施に減る見通しになっています。
学芸員は博物館法に基づく国家資格で、大半の人が、大学で博物館に関する科目の単位を取ることで資格を得ていますが、文科省が行う筆記試験または審査による「資格認定」に合格する方法もあり、筆記試験は毎年100人前後、審査は50人前後が出願しています。試験と審査では受験資格が異なります。今回の改正案では、この資格認定を現行の「毎年少なくとも各1回」から「少なくとも2年に1回」に減らす予定になっています。23年度は従来通り実施し、様子を見て、24年度以降は筆記試験と審査を年ごとに交互に実施することを検討することになっています。
また筆記試験は現在、「博物館概論」など計8科目の必須科目と、「美術史」「考古学」「生物学」などのうち2科目の選択科目を受ける必要がありますが、改正案では選択科目が廃止され、文化庁によると、23年度から廃止するとされています。
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