資格の概要 | ビジネス・キャリア制度は、事務系職業の労働者に求められる能力の高度化に対処するために、段階的・計画的に自らの職業能力の習得を支援し、キャリアアップのための職業能力の客観的な証明を行うことを目的に平成5年に発足した試験制度です。試験に合格すると企業での業務遂行あたっての専門的知識・能力の証明となる公的資格試験であり、自己啓発などに利用している企業もあります。
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試験は、事務系職務(人事・人材開発、総務、経理、営業等)を広く網羅した唯一の公的資格試験であり、国が整備した「職業能力評価基準」に準拠し、標準テキスト、認定講座などの学習環境も整備された、まさに「仕事ができる人材」の実務能力を育成・評価・証明する試験制度になっています。そのため企業では社員の実務能力の客観的な評価や人材開発などに、また、ビジネス・パーソンや学生・求職者にとっては、昇進・昇格、キャリア・アップや就職に向けた公的資格の一つとして活用されています。
この検定試験は1級から3級までのレベルに区分し、8分野(人事・人材開発・労務管理、企業法務・総務、経理・財務管理、経営戦略、経営情報システム、営業・マーケティング、ロジスティクス、生産管理)34試験で客観的に評価する公的資格です。
事務系の職業についての職務を全て網羅し、職務・能力レベルに応じて体系化した区分ごとに、それぞれの職務に必要な専門的知識について、単に専門知識を知っているか否かではなく、「実務に応用できるか」という視点から試験は行われます。
※級別のレベルとイメージ
1級
1級の試験ニついては休止となっていましたが、 平成28年度前期試験から復活しました。目安として、実務経験10年以上の方(部長、ディレクター相当職を目指す方)が対象で、1級試験分野の2級に合格している方、又は、同等の能力を有している方を想定した試験です。尚、令和3年度前期試験から1級企業法務が実施されました。
2級
職務に関連する幅広い総合的な専門知識を基に、グループやチームの中心メンバーとして、創意工夫を凝らし、自主的な判断・改善・提案を行いながら業務を遂行することができる。(部門長、ディレクター等を目指す人、又はスペシャリストなど)
3級
職務全般に関する幅広い専門知識を基に、担当者として上司の指示・助言を踏まえ、自ら問題意識を持ち定型的業務を確実に遂行することができる。(係長、リーダー等を目指す人、又は担当職務を的確に遂行できることを目指す人など)
※経理2級(税務会計)及びマーケティング2級(流通・サービス業)は廃止されました。
◆ビジネスキャリア検定試験関連の情報
・28年度前期試験から以下の分野の1級試験が開始されました。
人事・人材開発・労務管理/営業・マーケティング/経営情報システム
・中央職業能力開発協会は、ビジネス・キャリア検定試験で平成27年度後期日程から「ロジスティクスBASIC級」をスタートすることを発表しました。 |
試験方式 | 以下の8分野の各等級に応じた試験区分(44試験単位)ごとに試験が実施されます。
1.人事・人材開発・労務管理部門
2.経理・財務管理部門
3.営業・マーケティング部門
4.生産管理部門
5.企業法務・総務
6.ロジスティクス部門
7.経営情報システム部門
8.経営戦略部門
●Basic級 (試験区分:1と2 2試験区分)
各科目とも真偽法 70題/60分
合否基準:試験全体として概ね60%以上かつ問題毎に30%以上の得点
●3級(試験区分:1~8 15試験区分)
四肢択一 40題/110分
合否基準:出題数のおおよそ60%以上の正答
●2級(試験区分:1~9 19試験区分)
五肢択一 40題/110分
合否基準:出題数のおおよそ60%以上の正答
●1級(試験区分:1~8 8試験区分)
論述式 2題/150分 合否基準:全体として60%以上、かつ問題ごとに30%以上の正答
※令和2年度から、問題1(テーマ問題)、問題2(事例問題)の2問構成になりました。
(テーマ問題)・提示されたテーマに関連するキーワードの具体的な説明を含む、当該テーマに関する課題の解決方策等について、論述する問題。
(事例問題)・提示された事例に即して、課題を分析するとともに、当該課題の解決のための方策を立案し、これを適正に実施するためのマネジメント方策等について、総合的に論述する問題。
◆級別受験対象者レベル
・Basic:学生、就職希望者、内定者、出社して間もない人
・3級:実務経験3年程度 係長相当職を目指す人
・2級:実務経験5年程度 課長相当職を目指す人
・1級:目安として実務経験10年以上の方(部長、ディレクター相当職を目指す方)で、1級試験分野の2級に合格している方、又は、同等の能力を有している方を想定されています。 |
スケジュール | ●試験実施:(年2回)
前期(10月上旬):(3,2,1級)
後期(翌年2月中旬):(Basic,3,2級)
●申込受付期間
1級:4月中旬~7月中旬(年1回)
2級,3級:4月中旬~7月中旬 10月上旬~12月上旬(年2回)
Basc :10月上旬~12月上旬(年1回)
●合格発表
1級 :12月上旬
2級,3級 :11月上旬、 3月中旬
Basc :3月中旬
令和4年度 ビジネス・キャリア検定試験実施日程(前期・後期)
試験は終了しました。 |
資格難易度 | ●難易度
2級 「B」 普通
3級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
ビジネスキャリア検定試験は、多くの分野と受験級がありますので、難易度はその分野や級によって多少違いますが、2級、3級ともに比較的合格しやすい試験と言えます。実務経験があれば1か月程度の学習で突破は可能です。ただ、全科目の合格を考えている人は長期計画を立ててチャレンジすることがお勧めです。「過去問を制する者は受験を制す」とか言われますが、このビジネスキャリヤ検定試験はまさしくその通りと言える試験で、2級も、3級も徹底して過去問を中心とした学習を継続することで目標達成は可能です。2級でも社会人の場合なら2か月程度、もっと時間に余裕のある人であれば1か月でも可能でしょう。
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●合格率
令和3年度 後期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率54.0% →結果詳細
(申請者数16,744名 受験者数12,681名 合格者数6,843名)
※参考データ
・令和3年度 前期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率55.1%
(申請者数17,106名 受験者数14,518名 合格者数8,006名)
・令和2年度 後期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率57.9%
(申請者数17,059名 受験者数14,129名 合格者数8,180名)
・令和元年度 後期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率52.8%
(申請者数15,927名 受験者数13,707名 合格者数7,238名)
・平成30年度 後期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率49.1%
(申請者数15,800名 受験者数13,590名 合格者数6,671名)
・平成30年度 前期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率49.4%
(申請者数15,805名 受験者数13,393名 合格者数6,620名)
・平成29年度 後期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率53.1%
(申請者数15,176名 受験者数12,961名 合格者数6,880名)
・平成29年度 前期ビジネスキャリヤ検定試験結果
平均合格率50.2%
(申請者数15,632名 受験者数13,378名 合格者数6,718名)
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受験対策・資格の将来性 | 試験の合格率は各分野によって違いますが、平均20~50%前後で幅広い知識と技能を問われます。各試験分野は1~3級にランクづけされているので、事務系の職種で働く人はこの検定試験の合格を目標にして段階的かつ計画的に職業能力を高めていくことができるようになっています。そのため、企業からの受験者が比較的多く、合格を昇進・昇格の条件のひとつにしたり、研修の中に受験対策を取り入れるなど、大企業の他、中堅・中小企業で人材育成のために、この検定試験を活用している例が多いようです。
試験内容からは、就・転職に活用するというよりは、むしろビジネスパーソンが自分自身のスキルアップのために段階的にチャレンジしていくような利用方法が適している試験なので、公式テキストも受験対策というより講義で使うようなスタイルになっているため、直接試験の点数に影響するようなものではなく、テキストだけ勉強して6割取るのは難しい。実務の中や他の試験で得た知識を応用するしか方法がないような試験になっている。ただ、企画力等を加味した実務能力の評価を認定される点は就・転職には有利になると思われます。
●2級
2級に関しては、2007年にビジネスパーソンのキャリアアップや、企業の人材マネジメントに役立てるよう企業実務に即した専門知や能力を客観的に評価できる試験にリニューアルされました。それに伴い試験問題も質・量ともに拡充され、職務遂行に必要な能力を評価できるように改訂されました。
それ以前に比べ、試験の難易度は現在の試験の方がかなり難しくなったようです。そのため、その頃の過去問とはレベル差があるので利用しない方が良いでしょう。公式テキストはあまり受験対策にならないので、HPの過去問などで学習する方がよいと思います。試験問題は平均的にケーススタディ中心のものが多いようです。
平成19年度後期の試験では合格率が76%と一番高かったのが総務2級、最低だったのは企業法務2級(取引法務)23%。このようにこの試験は合格率の差が大きくなる傾向があります。これはこの試験に知識の有無を問う問題が少ないことが原因しているようです。
●3級
3級の試験も、2007年度リニューアルされた以後、試験問題も質・量ともに拡充され職務遂行に必要な能力を評価できるように改訂され,公的資格になりました。
総務関係の3級なら、テキストを読んで過去問で学習すれば、1ヶ月あれば合格できます。尚、3級は前期と後期で試験単位に若干の相違があるので、試験概要を確認しておく必要があります。 |