資格名

細胞検査士
英名:Cytotechnologist(CT)  略称:CT JSC

資格の種類

民間資格

主催者

日本臨床細胞学会・日本臨床病理学会

資格試験の概要

人間の体を構成している約60兆個の細胞を良性細胞か悪性細胞か見分けたり、良性細胞の中から少数の悪性細胞(がん細胞)を見つけ出す検査のことを細胞診(細胞検査)と言い、その細胞診をする検査技師のことを「細胞検査士」といいます。また、細胞検査士は別名「スクリーナー」とも言われます。
細胞診で、がん細胞(悪性細胞)を見落とすことは患者の生命に関わることになり、細胞検査士の業務はミスの許されない責任のある重要な仕事です。
※細胞診は、患者の臓器から組織片や細胞を特殊な吸引針で取り出し、顕微鏡で調べる検査法で、細胞検査士は指導医の監督指導のもとにがん細胞の有無、悪性度や進行度を詳細に検査し、治療の重要指針となる診断書を作成します。その他、細胞検査材料の採取の介助や、細胞処理の選択、染色法の選択、検査結果の精度管理をしたり、標本の管理などの実務も担当します。



日本国内において正式な細胞検査士資格を得るには、臨床検査技師の国家試験に合格し、病院または登録衛生検査所などでの細胞診業務を1年以上経験するか、細胞検査士を養成する大学の研修コースまたは特定指定施設で研修修了の後、日本臨床細胞学会の実施する認定試験に合格することが必要です。現在では、細胞検査士教育は4年制大学が主流になっていますが、養成校以外に専門医取得と同様のレジデント制度のある医療機関もあり、働きながら認定取得を目指すことも可能になっています。
試験は1次、2次まであり1次試験は筆記試験で2次試験は実技試験で、合格率が毎年30%~40%の難関試験です。

※この資格保有者は、資格取得後も4年ごとの資格更新のために、実務の他に学術集会等に参加するなどして、所定の単位取得が義務づけられています。
※2011年3月現在、全国で更新登録をしている細胞検査士は約6,520名です。毎年250名程度の検査士が認定試験に合格していますが、退職等により検査士の総数は減少しているのが現状です。

合格率・資格難易度

難易度 
  「B-上」   普通の上位

【資格の難易度レベル】
この試験は1次試験も2次試験も合格ラインは7割だと思われます。受験に不安がある人は、臨床細胞学会主催の2週間養成コースなどを受講する方法もあります。 ⇒詳細はこちらで。
細胞検査士は、全体の合格率が例年低く高度な知識と技術を求められる試験で、受験には1年以上の業務経験が必要です。養成コース出身者のメリットは合格率の高さです。全体の合格率は30%程度ですが、養成コース出身者の大半は合格することができます。
従って、細胞検査士養成学校を卒業していない受験者にはハードルは高めの資格であることは間違いありません。二次試験の合格率は一次試験と同じ約50%ですが、一次試験合格者が対象なので合格率は平均20~30%ほどになり、難易度はかなり高いと言っていいでしょう。
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●合格率  
     2020年第53回細胞検査士試験結果
   1次試験合格者数 318名
   2次試験合格者数 253名
※最終的な合格率は全国平均で25~30%前後です。養成コース出身者の大半は合格します。

※参考データ
・2019年第52回細胞検査士試験結果
   1次試験合格率53.4%(受験者数597名 合格者数319名)
   2次試験合格率48.9%(受験者数483名 合格者数236名)
・2017年第50回細胞検査士試験結果
合格率 全国平均合格率 38.1%(受験者数848名 合格者数323名)
   1次試験合格率58.6%(受験者数642名 合格者数376名)
   2次試験合格率55.5%(受験者数582名 合格者数323名)
・2016年第49回細胞検査士試験結果
合格率 全国平均合格率 25.8%(受験者数757名 合格者数195名)
  1次試験合格率55.8%(受験者数670名 合格者数374名)
  2次試験合格率42.3%(受験者数461名 合格者数195名)

受験対策・学習法ほか

1次試験対策は、マーク形式の筆記試験であることからも過去問中心の勉強でカバーできますが、ただ、過去問は学会誌には掲載されますが解答がないのが難点です。
2次試験のスクリーニング試験は、いくつかの標本を一定時間内観察し、異常な細胞を見つけ判断する試験ですが、異常な細胞を的確に見つけることができるかどうかがポイントになります。これは細胞検査士になるための基本となる試験なので、できるだけたくさんの標本を見ておくことが大切です。その意味からは、大学の専門コースや専門の養成所で毎日多くの標本を見続けている人が有利であることは間違いありません。
同定試験に関しては、出題されている標本の視野が指定されているため、スクリーニングのように異常な細胞を探して見つける必要はありませんが、出現している細胞を早く正確に判定・診断する能力が必要になります。実技試験のポイントは、与えられた検査材料について塗抹固定を行う試験ですが、いつもこの実務にたずさわっている人の場合は、手技が正確であればいつも通りに行えばいい試験です。

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試験に確実に合格するためには、臨床細胞学会が主催する2週間養成コースなどを受講すればいいと思います ⇒詳細はこちらで。北里大学などの特別に認定を受けた大学では、大学在学中に国家資格取得見込みで細胞検査士資格試験を受検することができるようになっています。
ただ、デメリットもあります。養成コースへの学内選考に合格すれば、4年次には細胞検査士の試験と臨床検査技師の国家試験の両方を受ける必要があります。このとき万が一、細胞検査士に合格し、臨床検査技師に不合格だった場合には、細胞検査士の合格は取り消されることになります。

細胞検査士認定試験合格者には、国際細胞検査士認定試験 (International Cytotechnologist : IAC)の受験資格が与えられます。この試験は2年に1回、東京であります。
国際細胞検査士資格は多くの国々で有効ですので、合格すれば外国で細胞検査士として働ける可能性も広がってきます。細胞検査士はがんの細胞診が画像診断では判断ができない場合に、採取した検体を顕微鏡で調べ、がん細胞の有無や悪性度を判定しますが、がん細胞にはいろんな特徴があり、一目で悪性細胞(がん細胞)と、すぐに分かるような特徴がある細胞から、良性細胞と区別の難しい悪性細胞や、反対に悪性細胞と区別が難しい良性細胞などがあり、これらを見分けるにはかなりの勉強と経験が必要になります。

細胞検査士は、細胞検査の専門職として医療現場からの評価は高く、就・転職に非常に有効な資格です。資格を取得すれば、細胞検査士は臨床検査技師の上級職にもあたり、就・転職に困ることはないでしょう。がん専門病院、大学病院、一般病院、検診センター、検査センター、大学・研究機関などで、医療現場のスペシャリストとして働くことができます。

受験資格

●認定試験の受験資格を得るためには、次の3つの方法があります。
(1)細胞検査士養成コースのある大学で所定の単位を修得する。
 ※養成コースのある大学は下記の7大学。
(杏林大学保健学部細胞検査士養成課程、北里大学医 療衛生学部細胞検査士コース、群馬大学医 学部保健学科細胞検査士養成課程、山口大学医学部保健学科細胞検査士養成課程、加計学園 細胞病理学センター(倉敷芸術科学大学生命科学部)、神戸常盤大学、弘前大学医学部保健学科)
 ※細胞検査士養成過程のある大学は、上記の中の4大学です。
(2)大学、医療短大、専門学校を卒業し臨床検査技師又は衛生検査技師国家資格を取得し、細胞検査士養成所に進学し、所定の教育課程を履修する。
 ※細胞検査士養成所は下記2施設。
(癌研究会付属病院附設 細胞検査士養成所、東京都多摩がん検診センター細胞 検査士養成所 )
 ※施設では通常6ヶ月~7ヶ月間、臨床細胞学の講義と実習を集中して受講します。
(3)臨床検査技師(衛生検査技師)資格を取得し、細胞診業務1年以上の実務経験を積む。

「平成30年度試験の受験資格」を参考に概要する項目を見てください。

試験方式

1次試験と2次試験で構成されています。
1次試験は筆記とスライド、2次試験では実技が試されます。
【1次試験】 
 筆記試験およびスライド投影による細胞像判定試験
 ・筆記試験:マークシート方式・120問(総論、技術、婦人科、呼吸器、消化器、体腔液・その他の各20問)
 ・細胞画像試験:カラープリントされた細胞画像を見て設問に答える(約60問)/スライド試験1時間、筆記試験2時間半の計3時間半
【2次試験】実技試験 
 ・顕微鏡によるスクリーニング試験:婦人科材料、喀痰、尿、体腔液などの細胞診標本を一定時間内に鏡検して、その標本中の異型細胞、悪性細胞を篩別(ふるい出すあるいは選び出す)し、病変推定する試験。
  ※スクリーニングは1問5分で30問、細胞同定は15問程度を1分半で行う
 ・細胞同定試験:細胞診標本に示してある細胞を見て、組織型などを推定する試験。
 ・標本作製実技試験(塗抹固定):塗沫、固定などの、標本作製技術のレベルを問う試験。
  ※体腔液のストリッヒ(1枚)と喀痰のすり合わせ(2枚)を3分以内に固定まで行う
◆1次試験合格資格は1年間有効で、翌年の1次試験のみ免除されます。

試験科目

試験は主に以下の項目について、1次と2次に分けて実施されます。
・1次試験:筆記および細胞像試験(カラープリント) 
・2次試験:実技試験

1. 細胞診に必要な基礎知識の概略
(1)各種検体採取法
(2)集細胞法
(3) 細胞ブロック作製法
(4) 細胞の基本的構造(超微構造を含む)および細胞生物学
(5) 細胞診に必要な諸臓器の解剖学および組織学
(6) 悪性腫瘍の病理学総論ならびに各論 例:癌と肉腫の相異、癌の組織型、上皮内癌および浸潤癌、転移など
(7) 内分泌異常、炎症、放射線照射、化学療法、あるいはその他の治療などによる細胞変化
(8) 染色体異常と異常症
(9) その他細胞診に必要な事項、 例えばコルポスコピー所見など
2.手技試験
 細胞検査士が行う細胞診材料の標本作製、中でも喀痰、体腔液、尿の塗抹、固定する操作技術は重要であるため、手技試験では標本作製に伴う操作技術が判定されます。
3.顕微鏡的検査
 各種検体の染色標本について行われます。
(1) 異型細胞の判別
 ① スクリーニング、特に少数の異型細胞の検出
 ② 同定
(2) 異型細胞以外の所見の判別
 ① 検体に出現し得る細胞の種類とそれに関する疾患
 ② 検体に出現し得るその他のもの (例えば微生物、 寄生虫、 結晶および異物など)
(3) 検体の所見から他の必要な検査を判断すること

※細胞診のスクリーニングは腫瘍の診断ならびに炎症、 内分泌、 その他の領域でも極めて重要な検査であるため、 以下のことが要求されます。
(1) 疑陽性および陽性、 パパニコロウのクラス分類でいうクラスⅢ以上の異型細胞を絶対に見落としなく検出すること。
(2) 腫瘍細胞以外でも問題となる細胞は見落としなく検出すること。
(3) 同陰性、 クラスⅡ以下のものを誤ってクラスⅣ以上としないこと。また逆に疑陽性および陽性、 クラスⅢ以上のものを陰性、 クラスⅠまたはⅡととらないこと。
(4) 充分の数の検体を適正に処理出来ること。

スケジュール

●試験実施:毎年1回 
 (1次試験 例年10月中旬  2次試験 例年12月上旬)


2023年度 第56回細胞検査士資格認定試験日程

試験会場

1次試験: 大阪   
2次試験: 東京

受験料

32,900円(うち受験手数料500円)

問い合わせ先

日本臨床細胞学会 03-5577-4680   http://www.jscc.or.jp/  
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台2-11-1 駿河台サンライズビル3F      

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