資格名

法曹(裁判官、検察官及び弁護士)に必要な学識及び能力を培うことを目的とする日本の専門職大学院。 通称「ロースクール」

資格の種類

民間資格

主催者

・法科大学院協会 ・公益財団法人 日弁連法務研究財団/商事法務研究会

資格試験の概要

法曹(裁判官、検察官、弁護士)養成を目的とした専門職大学院。法曹人口の増加を目指す司法制度改革を受け2004年に全国に設立された。修了すると新司法試験の受験資格と「法務博士(専門職)」の専門職学位が与えられます。
司法試験の受験資格は、原則として法科大学院の修了者に与えられますが、全ての法科大学院では出願時に「法科大学院全国統一適性試験」の成績の提出が義務付けられています。この試験は、法科大学院における履修の前提となる判断力や思考力、分析力、表現力などの能力を測る試験になっています。
もともとは法科大学院適性試験は、日弁連法務研究財団などが主催する試験と、大学入試センター試験が主催する試験とにわかれて行われていたため、各ロースクールによってどちらの試験結果を提出するかが、バラバラで決められていなかったという経緯があります。その結果、2011年度より一本化が実現し、法科大学院全国統一適性試験として再スタートすることになったものです。
司法試験が法科大学院経由になった直後には、大学院卒業者の多くが弁護士になれることが期待され、多くの受験生が適性試験を受験していましたが、現在では弁護士の過剰問題や定収入化の影響などもあって、以前の勢いはなくなってしまいました。




- 法科大学院適性試験の廃止について-
◆時代の流れとともに、入試制度も多様化し変化は避けられなくなっています。かっては法曹になりたい受験生の関門であった「法科大学院適性試験」も例外ではなく、2019年に廃止されることになりました。その最大の理由は「受験者数の慢性的な減少」です。法科大学院の競争率もピーク時には4.4倍ありましたが、2014年には2倍、2015年には1.9倍と徐々に受験者が減っていきました。その影響で法科大学院の閉校も相次ぎ、法科大学院適性試験はもはや本来の役割を果たせないという判断が下されたのだと思います。
そのため、今後は社会人が法科大学院に入学するには、法学未修者コースで小論文の試験を受けることが必要になります。

法科大学院適性試験は廃止されましたが、修了者には司法試験の受験資格以外に「法務博士(専門職)」の専門職学位が与えられることもあり、適性試験にはどんな資質やどの程度の能力が必要であったのかなどの情報を知りたいという方のために、過去の法科大学院適性試験の概要や受験対策、試験結果、難易度などを以下に解説しておきます。

合格率・資格難易度

難易度 
  「A」  難関 

【資格の難易度レベル】
適性試験は法曹養成に特化した法科大学院の授業に対応できるだけの判断力、思考力、分析力、表現力などの資質が備わっているかどうかを見極める試験なので、試験を受けるために法律の知識は必要ではなく、試験問題も理論力や、分析力を問う問題が出題され、それらの複合的かつ総合的な力が測定されます。
本番の司法試験では短答式の試験時間が3時間半で忍耐力等も試されるため、2~3時間の試験時間をほとんど休憩なしで行うことや、本番では重要なポイントになる時間配分も、模試などで時間とペース配分を体で覚えておくことも必要になります。特に時間のコントロールが非常に難しい試験なので、本番での時間を意識して過去問や予想問題集を解く練習が必要です。難易度的には、東大LSの場合なら200点台は必要と考えられます。

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・合格率 
※合格・不合格ではなく、総合点数でその能力が評価されます。
 2017年法科大学院全国統一適性試験実施結果

※参考データ
2016年法科大学院全国統一適性試験実施結果
2015年法科大学院全国統一適性試験実施結果

受験対策・学習法ほか

法科大学院に入学するには、適性試験と各大学院入試の二つの試験過程があります。受験者全員に「法科大学院適性試験」が課せられます。法学既修者(二年制)には、「法律科目試験」が課されるか、「法学既修者認定試験」を利用する法科大学院もあり、また、このほかに小論文試験、外国語試験、面接等を課している法科大学院もあります。法科大学院に入るためには、入学するに値するかどうかをはかるため、日弁連法務研究財団の「法科大学院統一適性試験」を受けなければなりません。

裁判官、検察官、弁護士の法曹3者になるためには、現行司法試験に受かるか、法科大学院に入学して新司法試験に合格するしかありません。そこで、法科大学院に入学し、卒業した人に新司法試験の受験資格を与えて、それに合格し、司法研修所を卒業した人に法曹資格を与えるという制度が生まれました。また、法科大学院には法学未修者コース(3年)と法学既習者コース(2年)があります。弁護士には誰でもなれますが、裁判官と検事には任命されないとなれません。なれるか否かは、人格と司法研修所での成績によって決定されます。現状では、検察官、裁判官ともに100名前後の採用数ですが、これからは法曹になるチャンスは拡大するでしょう。未修者、既修者コースとも「超」のつく難関。未修コースは理論や論拠、既修コースは法律科目がポイントになります。

「法務博士」は専門職学位であり、法科大学院の修了者に対して与えられる学位です。法科大学院では法曹実務を想定したカリキュラムが組まれ、卒業者には司法試験の受験資格が与えられます。法務博士の学位を取得しないで司法試験を受験するには難関試験である「予備試験」の合格が必要です。この司法試験の受験資格を得られるという点が、法務博士号の最大の特徴であり、存在意義といえます。法務博士号を得るには法科大学院入学後に所定の単位数を取得すればよく、博士論文の執筆は必要ありません。学位取得までにかかる年数は3年ですが、入学試験において各法科大学院で法学既修者の水準にあると認められた場合は2年になることもあります。
法務博士は法科大学院制度の導入によって誕生した新しい学位ですので、法曹を目指す人が取得する学位です。ただ、法務博士号取得者は、研究者以外の道として、法曹界や一般企業等への就職の道もあり、法律の専門家として目指せるキャリアは多様です。

(参考データ)
【過去10年累計の法科大学院別平均合格率】 2016年3月現在
(1)合格率30%以上
一橋大、東大、京大、慶應大、神戸大、中央大、千葉大、愛知大、大阪大、北大、早稲田大、首都大学東京、名古屋大、東北大
(2)合格率20%以上30%未満
大阪市立大、九州大、上智大、明治大、岡山大、同志社大、創価大、南山大、広島大、★山梨学院大、横浜国立大
(3)同15%以上20%未満
関西学院大、立命館大、学習院大、金沢大、立教大、法政大、福岡大、関西大、琉球大、甲南大、
★成蹊大、★中京大、★新潟大、★広島修道大
(4)合格率15%未満
専修大、筑波大、青山学院大、西南学院大、日本大、駒澤大、桐蔭横浜大、近畿大、名城大、北海学園大、
★熊本大、★神奈川大、★静岡大、★白鴎大学、★関東学院大、★東洋大、★香川・愛媛大、★信州大、★島根大、★明治学院大、★東北学院大、★神戸学院大、★國學院大、★大宮法科大学院、★久留米大、★獨協大、★龍谷大、★駿河台大、★鹿児島大、★東海大、★大東文化大、★京都産業大、★愛知学院大、★大阪学院大、★姫路獨協大
(★は募集停止を決めた大学院)
◆2016年司法試験 法科大学院別合格者ランキング

 

〔ここから以下の欄にはプロモ―ションが一部含まれています〕

受験資格

法科大学院の出願資格は大学院ごとに異なるが、短期大学を除く大学卒業者でなければならないとしているが、各法科大学院のそれぞれの基準と判断による。
※平成23年から「司法試験予備試験」が始まりました。これには受験資格の制限は無いため、大学卒業者でなくても新司法試験が受験できるようになります。

試験方式

試験は、共通試験としての法科大学院「適性試験」と、法科大学院ごとの「個別試験」からなります。

  • 適性試験(大学入試センター実施)
    第1部・第2部・第3部 各 40分/100点満点 多岐択一式・マークシート方式
  • 個別試験(各法科大学院)
    第4部 40分 第4部は論述試験。

※受験者全員に成績通知書と、法科大学院に提出用の成績証明カード、第4部の解答用紙(写)が送られます。

試験科目

・適性試験 (第1部から第3部 多肢択一・マークシート方式  第4部 論述式試験)

第1部:論理的判断力を測る問題(24項目)40分
第2部:分析的判断力を測る問題(24項目)40分
第3部:長文読解力を測る問題(24項目)40分
第4部:表現力を測る問題 40分

※採点は各法科大学院の判断にゆだねられています。

スケジュール

・試験期日: 第1回 5月下旬 第2回 6月上旬(2014年の場合)
※日程は年度によって変更があります。
・申込期間: 3月中旬~4月中旬

※申込方法

  • 郵送の場合:受験料を銀行振り込み、又は特約書店で支払い、その証明書と願書を専用封筒に入れて郵送。
  • Webサイトからの場合:主催団体の出願専用サイトで申込み、受験料をカード決済、又はコンビニで支払う。
  • 出願書類は主要書店で入手できます。

日弁連法務研究財団などでつくる実施団体は11月2日、2018年度は適性試験を実施しないと発表しました。予定利用校が少ないことが理由で、再来年以降については実施の可否を改めて検討するとしています。

※法科大学院統一適性試験日程

試験会場

法科大学院統一適性試験
札幌、仙台、東京、神奈川、金沢、愛知県、京都、大阪、兵庫、岡山、広島、福岡、熊本、沖縄の全国14地区
※熊本市は 1 回のみ(5 月 )の実施

受験料

・21,600円(税込)

問い合わせ先

文部科学省 http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/houka/houka.htm
公益社団法人 商事法務研究会内 適性試験管理委員会
 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-9-10 茅場町ブロードスクエア2F
 TEL03(56146287)http://www.shojihomu.or.jp/

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