資格名

証券アナリスト(CMA)
※CMA:Chartered Member of the Security Analysts Association of Japanの略

資格の種類

民間資格

主催者

日本証券アナリスト協会

資格試験の概要

証券アナリストは証券投資の分野において、高度の専門知識と分析技術を応用し、各種情報の分析と投資価値の評価を行い、投資助言や投資管理サービスを提供するプロフェッショナルのことをいいます。
証券会社や資産運用会社などで産業・企業調査を基に、個別証券の分析・評価を行う人を、リサーチ・アナリスト(狭義の証券アナリスト)と言います。また、資産運用会社や銀行・保険会社などの機関投資家には、いろいろな投資目的に適合した証券を組み合わせて、総合的な資産運用に携わるポートフォリオ・マネジャーという専門職や、その他にも投資ストラテジストや投資アドバイザー、といわれる職種の人たちがいますが、証券アナリストは、これら一連の投資の意思決定過程に参画するプロフェッショナルを総称した名前になっています。
「CMA」は、日本証券アナリスト協会検定会員のことで、当協会が一定の学習、訓練、経験を通じて、証券アナリストとして必要なスタンダードに達したことを認定する資格です。

試験の目的は、証券(株式、債券、デリバティブなど)の分析・評価に必要な専門的知識と技術の普及であり、日本証券アナリスト協会の実施する、第1次レベル・第2次レベルの試験に合格し、同協会により3年以上の実務経験を有すると認められた者は、日本証券アナリスト協会の検定会員(CMA)となることができます。

合格率・資格難易度

難易度
 
「B」  普通  

【資格の難易度レベル】
証券アナリスト資格の受験には、協会の通信教育を1次レベルの8ヶ月間、2次レベルの9ヶ月間受講することを義務付けています。この資格試験には数式を使う科目数が多く、範囲が非常に広いことが難易度を高くしています。必ず数学の知識や応用力が必要になるため、統計学や数学に強いと有利です。その他にはデータを集めるための情報収集能力や分析力は必須です。
試験に関しては、毎年出題されるところが大体決まっているので、そのあたりにポイントを絞って十分に準備をしておけば、大抵は合格することができます。
総じて言えば、証券アナリスト資格試験は、通信教育期間計17ヶ月を含めると勉強時間が非常に長くなりますが、試験は特に難関試験ではありません。同じ税務・証券系の日商簿記検定2級と1級の中間くらいの難易度と考えて良いでしょう。

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●合格率  
 2021年証券アナリスト第1次レベル春試験 合格率51.8% 
    受験者数(3科目延べ)10,550名  合格者数5,467名
 2021年証券アナリスト第1次レベル秋試験 合格率53.8% 
    受験者数(3科目延べ)7,161名  合格者数3,851名
 2021年証券アナリスト第2次レベル試験    合格率52.1% 
    受験者数 2,727名  合格者数 1,422名

※参考データ
・2020年証券アナリスト第1次レベル秋試験 合格率55.0% 
    受験者数(3科目延べ)10,772名  合格者数5,921名
・2020年証券アナリスト第2次レベル試験    合格率53.4% 
    受験者数 1,946名  合格者数 1,040名
・2019年証券アナリスト第1次レベル秋試験 合格率52.6% 
    受験者数(3科目延べ)5,648名  合格者数2,971名
・2018年証券アナリスト第1次レベル春試験 合格率51.3% 
    受験者数(3科目延べ)7,698名  合格者数3,951名
・2017年証券アナリスト第1次レベル秋試験 合格率51.6% 
    受験者数(3科目延べ)5,012名  合格者数2,586名
・2017年証券アナリスト第1次レベル春試験 合格率48.2% 
    受験者数(3科目延べ)7,379名  合格者数3,559名
・2016年証券アナリスト第1次レベル秋試験 合格率52.4% 
  ・受験者数(3科目延べ)5,000名 合格者数2,621名
 2016年証券アナリスト第1次レベル秋試験の結果内訳 

受験対策・学習法ほか

証券アナリスト試験は、1次レベル本試験受験には、まず「日本証券アナリスト協会」1次通信教育講座の受講が絶対条件となります。この教育講座は誰でも受講することができますが、1次本試験を通過すると協会が行う2次通信教育講座に進むことができ、2次レベル本試験には、2次通信教育講座の受講申し込みが必須となります。そして、2次試験に合格し、かつ証券分析の実務経験が3年以上あれば、日本証券アナリスト協会の検定会員(CMA)として入会することができます。さらに、検定会員(CMA)資格者には国際公認投資アナリストの受験資格が与えられます。結局、資格取得までの流れは、第1次レベル講座受講(8ヶ月)→第1次レベル試験合格→第2次レベル講座受講(9ヶ月)→第2次レベル試験合格、かつ実務経験が3年以上と認定されれば、日本証券アナリスト協会の検定会員として入会の資格が付与されます。試験対策の学習は長期になりますが講座の受講を修了し、しっかりと対策をしていれば2年程度で試験の合格は可能です。

通信講座の開講期間は、第1次試験は6月~翌年1月までの8ヶ月間、第2次試験は8月~翌年4月までの9ヶ月間です。第1次試験では「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」がメインの科目で他の科目の2倍ほどの学習量があります。2次では「職業論理・行為基準」と「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」が中心なので、的を絞った学習が必要になります。証券アナリスト専門の資格スクールもありますが、各レベルの試験に合格するためには、普通それぞれ最低でも250時間の勉強が必要とされています。

1次レベルの試験では、学習した基本的な理論、概念、分析ツール等を正確に理解していることが鍵となります。「証券分析とポートフォリオ・マネジメント」がポイントになりますが、試験で問われるのは、公式とグラフの意味を関連づけであるため、問題をたくさん解いて慣れたうえ、さらに公式の意味を詳しく理解することが必要です。「経済」は国民経済計算の体系が重要。また「財務分析」は基本が簿記なので、簿記の苦手な人は、日商の簿記3級や2級あたりで基礎を固め、証券アナリストの財務分析の教材で財務諸表や財務分析を十分に勉強することです。
2次レベルは、非常に問題数が多く、じっくり取り組む時間がないため、苦手な問題を飛ばして、解ける問題を解いていく方式に切り替えた方がよいでしょう。苦手な問題を飛ばす、見切りの付け方が難しいですが、問題を数多くこなしておくと、その辺のことも分かりやすくなります。

この資格は多くの金融機関で認知されているため、その試験の難易度等から金融業界での評価は高く、金融業界以外にも、企業の財務・IR部でキャリアアップをしたい方には有利な資格となります。また、自らの知識を客観的に証明できるという意味で、銀行や証券会社に勤めるビジネスパーソンにはおすすめの資格です。証券会社や機関投資家、投資銀行などに、専門職として雇用される形で職務に携わる人が多いですが、評論家等として自由契約や独立経営する人もいます。
企業の動向を左右する分析を行うという意味でその社会的責任は大きく、情報収集や分析能力の客観的な証明が、アナリストの雇用や選択の上で大きな拠り所になるのは間違いありません。
企業や業界、経済の動向を調査分析し、投資価値や将来性を予測すると言う任務上、金融関係全般で有利な資格と言えます。

◆「証券アナリスト」の資格には2種類あることをご存知ですか。
1つは、このページで紹介している資格で、社団法人日本証券アナリスト協会が認定する「日本証券アナリスト検定会員(Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan、略称CMA)」。
もう1つは、米国に本部があるCFA Instituteが認定する「CFA協会認定証券アナリスト(Chartered Financial Analyst)」、国際的な投資プロフェッショナルの資格です。
前者が、一般に「証券アナリスト」と呼ばれる資格ですが、前者と後者は試験の種類や難易度、資格の評価などが全く異なる資格です。
「日本証券アナリスト(CMA)」は、事前に協会が主催する通信講座を受け、その後1次試験と2次試験に合格し、実務経験が3年以上の者で協会から「日本証券アナリスト(CMA)」として認定を受ければ資格が取得できます。それに比べて、「CFA協会認定証券アナリスト(CFA)」の資格取得のためには、Level1、Level2、Level3の3つの試験に合格し、少なくとも4年間の投資分析関連の職務経験が必要になります。試験の合格率はLevel1 35%前後、Level2 40%前後、 Level3 50%前後で、日本人の合格者数は全体の2~3%程度に過ぎません。そのため、日本人のCFA資格所有者は約1,000人しかいません。試験は英語で行われ、各LEVELとも試験は午前、午後ともに3時間で計6時間が所要時間です。

受験資格

特に制限はありません。
※試験は、第1次・第2次レベルともに、通信教育講座を開講した年の翌年に行われ、受験できるのは、通信教育講座の受講を終えた者に限られており、 1回の受講で開講時以降3年の間に実施される試験を受けることができる。ただ、ある程度の経験と知識が前提となっているため、金融業界の経験のない状態での取得はかなり難しい。
※証券アナリスト教育・試験制度は、試験や称号の付与だけが目的ではなく、教育・学習過程を重視しているため、講座の受講が受験の要件となります。初回試験は、受講年度の翌年になります。

試験方式

マークシート方式で選択肢問題が中心で、他に語句・数字選択(穴埋め)問題などが出題される。
●1次レベル
マークシート方式
すべての問題は正解が1つの客観問題(計算問題、穴埋め問題を含む選択肢問題)
●2次レベル
午前:3科目総合150分+職業倫理・行為基準60分(合計210分)
午後:3科目総合(合計210分)
計算問題等も出題されますが、大部分が記述式の応用問題。正解は1つとは限らず、採点に際して解答に至る論旨展開が重視されます。
※1回の受講で開講年度の翌年以降3年間に実施される試験(計3回)を受けることができます。3回の受験機会の中で合格し、3年間の実務経験があれば、CMA (当協会検定会員)の入会を申請することができます。

試験科目

●1次レベル(受験前に8ヶ月の通信講座の受講義務がある)
証券分析業務に必要な基本的な知識および分析力を問う試験で、原則としてテキストから出題されます。
・証券分析とポートフォリオ・マネジメント/180分
・財務分析/90分
・経済/90分 計3科目
※この試験に合格した者だけが2次レベルに進むことができる。
※科目別、または3科目一括受験することができ、連続3年間受験可能。
●2次レベル(受験前に9ヶ月の通信講座受講義務がある) 
・証券分析とポートフォリオ・マネジメント
・コーポレート・ファイナンスと企業分析
・市場と経済の分析
・職業倫理・行為基準 
計4科目(配点は上記3科目が360点、職業倫理・行為基準が60点 合計420点)
※3年間の試験で合格しなかった場合、再受講となる。科目別受験はありません。
※職業倫理・行為基準(配点60点)の得点が一定水準に達しない場合は、総合得点が合格最低点に達していても、不合格となる。

スケジュール

●試験実施:
  (1次)春(4月下旬)と秋(9月下旬または10月上旬)  
  (2次)6月上旬
●合否判定:
  第1次レベル春試験の合否結果は6月上旬。秋試験の合否結果は11月上旬。
  第2次レベル試験(6月上旬)の合否結果は7月下旬に本人に通知されます。

2023年証券アナリスト試験の日程(第1次,2次試験)

試験会場

国内9都市(東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、金沢、広島、松山、福岡)、
海外3都市(ニューヨーク、ロンドン、香港)

受験料

●1次レベル
 ・証券分析とポートフォリオ・マネジメント 6,200円
 ・財務分析 3,100円
 ・経済 3,100円
●2次レベル 8,200円(各税込)

問い合わせ先

公益社団法人 日本証券アナリスト協会    http://www.saa.or.jp/
〒103-0026 東京都中央区日本橋兜町2-1 東京証券取引所ビル5F   
TEL 03(3666)1511 

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