資格試験の概要 | 私たちの周りにあるファッションやインテリア、食品などの色はみんな何かを伝えたり、表現しています。色彩の役割は重要で、その効果や分析結果について多くの関心が集まっています。
このような色彩を趣味として楽しく学びたい人や、仕事として本格的に取り組みたい人にも、多くの受験者があるのがこの「色彩検定」です。創設以来、すでに20年を超える実績を誇り、年々増加する志願者数は、1990年の第1回試験以来、累計で170万人を超えています。試験の正式名称は「文部科学省後援 色彩検定」と言います。1995年度より文部科学省認定、2006年度からは同省後援の「技能検定」となりました。
最近の試験の特徴は、志願者が幅広い年齢層に広がっており、文部科学省後援の検定試験ということもあってか、比較的、学生が多いことや、ファッション、インテリア、グラフィック等のデザイナーから、販売、企画、事務といった職種の人達まで、一般の社会人に幅広く受け入れられてきていることです。
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色彩検定の試験級は、1級から3級までの3種類。合格するとA・F・Tにより「色彩コーディネーター」の称号が与えられます。
・各試験のレベル
UC級:配色における注意点や改善方法を理解している。2018年冬期に新設。
3級:色彩に関する基本的な事柄を理解している。
2級:3級の内容に加え、基本的な事柄を理解し、技能を持っている。
1級:2級と3級の内容に加え、色に関する事柄を十分に理解し、技能を持っている。
※UC(ユニバーサルデザイン)級について
「特定の色の組み合わせが判別しにくい」人が、日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人、全体で300万人以上おられると言われています。例えば、白内障等の眼の老化によっても色の見え方は変化し、区別できない色が増えるといわれています。高齢化社会が進む中、このような問題は更に増える可能性があります。UC級 は「色に携わる全ての人が色覚の多様性について正しい知識を持ち、配慮をすることができる社会の実現」を目指し、2019年から全ての都道府県で実施されるようになりました。UC級 の合格者には、色彩検定協会から「UCアドバイザー」という資格を付与し、カードを発行されています。また、申請により名刺に使用できる「UCアドバイザー資格マーク」も発行されています。 |
合格率・資格難易度 | ●難易度
1級 「B」 普通
2 3級 「C」 やや易
【資格の難易度レベル】
色彩検定は、3級は基礎的な色彩学、2級は色彩学の基礎を発展させたレベルです。1級以外の難易度はそれほど高くありません。難易度が一番高い1級は、合格率が過去は10%前後で難関試験でしたが、最近は30%前後と軟化しているため、十分狙える資格になりました。1次試験は2級合格者なら、それほど難しくないでしょう。問題は2次試験の実技です。実際にカラーカードで色をコーディネートしていきます。色彩学の専門知識があり配色の提案などが出来るレベルです。これには、様々な色のシステムを変換していく作業も必要で、難易度は高いです。社会人の場合で仕事で色彩学の知識が必要な人であれば、1級の取得を目指すことが望まれます。
また、色彩検定とカラーコーディネータを比較した場合、試験に関しては、平均的には色彩検定よりもカラーコーディネーター検定の方が難易度が高いようです。色彩検定の2級とカラーコーディネーター3級が同程度の難易度と判断できます。また、カラーコーディネーター1級は、色彩検定でカラーの知識を勉強していれば、カラーコーディネーター2級・3級を取らなくても大丈夫だと思います。
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●合格率
2021年度色彩検定試験結果
1級 志願者2,302/合格者1,213 合格率52.7%
2級 志願者18,886/合格者14,712 合格率77.9%
3級 志願者33,278/合格者25,557 合格率76.8%
UC級 志願者4,901/合格者4,396 合格率89.7%
・2020年度色彩検定試験結果
1級 志願者1,426/合格者641 合格率45.0%
2級 志願者9,466/合格者7,346 合格率77.6%
3級 志願者22,498/合格者17,166 合格率76.3%
UC級 志願者2,226/合格者1,943 合格率87.3%
・2019年度色彩検定試験結果
1級 志願者1,651/合格者738 合格率44.7%
2級 志願者12,666/合格者8,537 合格率67.4%
3級 志願者27,051/合格者20,126 合格率74.4%
UC級 志願者29,000/合格者19,515 合格率88.6%
・2018年度色彩検定試験結果
1級 志願者1,656/合格者710 合格率42.9%
2級 志願者11,631/合格者7,839 合格率67.4%
3級 志願者26,056/合格者19,515 合格率74.9%
・2017年度色彩検定試験結果
1級 志願者1,689/合格者601 合格率35.6%
2級 志願者11,182/合格者7,257 合格率64.9%
3級 志願者25,227/合格者18,567 合格率73.6% |
受験対策・学習法ほか | 色彩検定の勉強方法としては、大きく分けて①独学 ②スクール ③通信教育の3つがあります。②や③を活用する場合は、学校によってカリキュラムや費用が違いますので、十分に調べて、自分に合ったところを選択することが大切です。色彩検定協会でも通信講座「文部科学省認定 たのしく学ぶ 色彩講座 初級コース」が開講されていますので、色彩検定3級の受検対策には利用できます。また、協会監修の各級の「公式テキスト」や「過去問集」は独学でも活用できます。試験は主に公式テキストから出題されますので、3級、2級の勉強を十分やっておけば、いきなり2級を受検しても大丈夫です。
・「色彩検定」1級
受験対策は、1級でも公式テキストを見て理解しがら問題集を繰り返し解く方法が色彩検定の場合はベストです。色彩検定1級に合格すると、A・F・Tで色彩講師養成講座受講することができます。この講座は「色彩講師」として、必要な幅広い知識と高い指導力を身につけることを目的に実施されています。
・2級
試験内容は、「色彩文化、光の性質、配色の技法、環境色彩計画の手順と内容、オストワルト表色系、心理的評価方法、美的校正と配色、インテリアの照明」などで、やや応用的な内容が多くなってきます。内容を本当に理解しているかどうかが問われますので、直前の丸暗記では難しいでしょう。
・3級
試験内容は、「色彩の働き、光と色、配色の方法、インテリアと色彩、色の名前、色の心理的効果、ファッションと色彩、エクステリア環境色彩の基礎」など、基本的な部分がほとんどです。3級の公式テキストを1ヶ月ぐらいしっかりやれば、セミナーや講座などを受けなくても合格できます。 前半は理論中心で暗記さえできていればすぐに解けるものばかりです。従って、後半の写真付き問題が確実に解けるかどうかで合否が分かれると考えていいでしょう。
色彩検定 1級の合格率は45%前後で難易度B、2級が合格率75%前後で難易度C、3級は合格率80~90%で難易度Cです。2級・3級の試験対策は、公式テキスト3級、2級を準備し、それを文章を理解しながら徹底的に読み込みます。「色」と「名前」を一致させるのは少しやっかいですが、ここができないと得点が取れないと思ってください。合格点が70点前後なので、全体をバランス良く勉強をしておく必要があります。難易度がCレベルの2級と3級は独学でも十分に合格できます。なるべく苦手項目を作らないように考えながら過去問とテキストを駆使し、理解しながら問題をこなすとよいでしょう。毎日学習できる時間のある人なら2級合格には1.5か月程度あれば問題ありません、ただ資格取得後にもその習得した知識が生かして専門的な道に進もうとか考える人は、時間とお金の余裕があれば、専門学校や通信講座などで勉強することをお薦めします。
この試験の志願者は生涯学習の名にふさわしく小学生からお年寄りまで幅広い年齢層に広がっています。文部科学省後援の検定試験であるため、学生が非常に多いのが特徴の一つです(10代~20代で約8割を占めます)ただ、近年では、インテリア、ファッション、グラフィックな どのデザイナーと呼ばれる人達から、一般的な職種の人達まで、社会人にも幅広く受け入れられています。
色彩検定を勉強すれば、色彩調和や色彩効果の専門家として、ファッションやデザインなど多彩な分野で知識を活用できますが、さらに深く学んでキャリアアップすれば、カラーコーディネーターやインテリアコーディネーターのような、専門の仕事につくための武器にすることができます。アパレルやインテリア関係の仕事以外に、飲食関係や、趣味でセンスアップしたいと思っておられる方などにもおすすめの資格です。また、洋服から、雑貨、食品など、ありとあらゆるところに色彩は使われており、配色センスと専門知識を活かし、食料品や衣料品、住宅などの各種メーカーの商品開発、広報部で、商品や広告の制作などに携われるほか、販売や営業などの接客業でもその知識は役に立ち、メリットが大きい資格です。
色彩に関する資格は3種類あります。1つは、この「色彩検定」で、全国服飾教育者連合会(AFT)主催で文部科学省後援の検定試験。もう一つは、「カラーコーディネーター検定試験」で、これは東京商工会議所主催(東商)です。3つめは、全国美術デザイン教育振興会主催の「色彩士」という資格です。その中でも、「色彩検定」は2006年度には文部科学省後援の技能検定となりました。
(参考)
「色彩検定」と「カラーコーディネータ」
色彩検定は文部省の資格、正式名称は『文部科学省後援 色彩検定』といいます。そしてカラーコーディネーターは東商の資格です。
試験内容の違いは、一言で言えば、AFTの色彩検定の場合は実践面重視、特に配色に重点が置かれています。東商のカラーコーディネーター検定は、用語の意味や使い分けを正しく理解することなど、基本知識重視型の試験です。試験で問われること自体はあまり変わりません。
2005年に色彩検定がやや大幅なテキスト改訂を行ない、色彩検定とカラーコーディネーターの資格の内容が近づき、勉強する理論においては重なる部分が増えました。ところが、両者で使用するカラーカードが違うので、色の表記法が全く違っています。
両方とも勉強したいと思う方には、 色彩検定の3級~2級をまず勉強されることをお勧めします。カラーコーディネーターより、色彩検定のほうが、試験対策の本や、学校・講座などもたくさんあるので、自分に向いた勉強法が選びやすいはずです。また、東商のカラーコーディネートのテキストには数字などが多く出てくるので、苦手感覚を持たれる方がおられるかも知れません。
いづれにしても、履歴書に書いて力を発揮できるのは、どちらの検定も2級以上です。 |