色彩に関する資格は3種類あります。1つは、この「色彩検定」で、全国服飾教育者連合会(AFT)主催で文部科学省後援の検定試験。もう一つは、「カラーコーディネーター検定試験」で、これは東京商工会議所主催(東商)です。3つめは、全国美術デザイン教育振興会主催の「色彩士」という資格です。
その中でも、「色彩検定」は2006年度には文部科学省後援の技能検定となりました。また、創設以来、すでに20年を超える実績があり、年々増加する志願者数は2009年で累計110万人を越えています。
・「色彩検定」1級
試験では、1級の合格率が過去は10%前後で難関であったが、最近は30%前後と軟化しているため、十分狙える資格になりました。1次試験は2級合格者ならさほど難しくないでしょう。問題は2次試験の実技です。実際にカラーカードで色をコーディネートしていきます。これには、様々な色のシステムを変換していく作業も必要で、難易度は高いです。
色彩検定1級を合格すると、A・F・Tで色彩講師養成講座受講することができます。この講座は「色彩講師」として、必要な幅広い知識と高い指導力を身につけることを目的に実施されています。
・2級
試験内容は、「色彩文化、光の性質、配色の技法、環境色彩計画の手順と内容、オストワルト表色系、心理的評価方法、美的校正と配色、インテリアの照明」などで、やや応用的な内容が多くなってきます。内容を本当に理解しているかどうかが問われますので、直前の丸暗記では難しいでしょう。
・3級
試験内容は、「色彩の働き、光と色、配色の方法、インテリアと色彩、色の名前、色の心理的効果、ファッションと色彩、エクステリア環境色彩の基礎」など、基本的な部分がほとんどです。3級の公式テキストを1ヶ月ぐらいしっかりやれば、セミナーや講座などを受けなくても合格できます。 難易度は高くありません。
前半は理論中心で暗記さえできていればすぐに解けるものばかりです。従って、後半の写真付き問題が確実に解けるかどうかで合否が分かれると考えていいでしょう。
2級・3級の試験対策は、公式テキスト3級、2級を準備し、それを文章を理解しながら徹底的に読み込みます。「色」と「名前」を一致させるのは少しやっかいですが、ここができないと得点が取れないと思ってください。合格点が70点前後なので、全体をバランス良く勉強をしておく必要があります。なるべく苦手項目がないように考えながら過去問などでテキスト問題をこなすとよいでしょう。独学でも十分に合格できますが、時間とお金の余裕があれば、専門学校や通信講座などで勉強した方がより理解も深まり、資格取得後にもその知識が生きてきます。
この試験の志願者は生涯学習の名にふさわしく小学生からお年寄りまで幅広い年齢層に広がっています。文部科学省後援の検定試験であるため、学生が非常に多いのが特徴の一つです。(10代~20代で約8割を占めます)
ただ、近年では、インテリア、ファッション、グラフィックな どのデザイナーと呼ばれる人達から、一般的な職種の人達まで、社会人にも幅広く受け入れられています。
色に関する学習は学校教育ではほとんど触れられることがありません。また、この試験が、年齢、性別、学歴などに関係なく誰でも気軽に受験できることや、日常生活の場面で「色彩」は楽しく学びながら活かす事ができる、といったことが評価につながり、生涯教育として受け入れられている理由のようです。
また、実際に色彩検定の資格を取得するとファッション業界やインテリア業界などへの就職の際に有利になることは確かです。
※「色彩検定」と「カラーコーディネータ」
色彩検定は文部省の資格、正式名称は『文部科学省後援 色彩検定』といいます。そしてカラーコーディネーターは東商の資格です。
試験内容の違いは、一言で言えば、AFTの色彩検定の場合は実践面重視、特に配色に重点が置かれています。東商のカラーコーディネーター検定は、用語の意味や使い分けを正しく理解することなど、基本知識重視型の試験です。試験で問われること自体はあまり変わりません。
2005年に色彩検定がやや大幅なテキスト改訂を行ない、色彩検定とカラーコーディネーターの資格の内容が近づき、勉強する理論においては重なる部分が増えました。ところが、両者で使用するカラーカードが違うので、色の表記法が全く違っています。
ただ、試験に関しては、平均的には色彩検定よりもカラーコーディネーター検定の方が難易度が高いようです。色彩検定の2級とカラーコーディネーター3級が同程度の難易度でないかと判断します。
また、カラーコーディネーター1級は、色彩検定でカラーの知識を勉強していれば、カラーコーディネーター2級・3級を取らなくても大丈夫だと思います。
どちらも勉強したいと考える方には、 色彩検定の3級~2級をまず勉強されることをお勧めします。カラーコーディネーターより、色彩検定のほうが、試験対策の本や、学校・講座などもたくさんあるので、自分に向いた勉強法が選びやすいはずです。また、東商のカラーコーディネートのテキストには数字などが多く出てくるので、苦手感覚を持たれる方がおられるかも知れません。
いづれにしても、履歴書に書いて力を発揮できるのは、どちらの検定も2級以上です。
◆チョット一言
色彩検定を勉強すれば、色彩調和や色彩効果の専門家として、ファッションやデザインなど多彩な分野で知識を活用できますが、さらに深く学んでキャリアアップすれば、カラーコーディネーターやインテリアコーディネーターのような、専門の仕事につくための武器にすることができます。アパレルやインテリア関係の仕事以外に、飲食関係や、趣味でセンスアップしたいと思っておられる方などにもおすすめの資格です。また、洋服から、雑貨、食品など、ありとあらゆるところに色彩は使われており、配色センスと専門知識を活かし、食料品や衣料品、住宅などの各種メーカーの商品開発、広報部で、商品や広告の制作などに携われるほか、販売や営業などの接客業でもその知識は役に立ちます。 |